ドクター・ドリトル

今日は、妻&娘と一緒にロバート・ダウニーJr.主演の「ドクター・ドリトル」を見てきた。

驚いたことに娘も“前作”を見ていたのだが、彼女が言っているのはエディ・マーフィ主演の「ドクター・ドリトル(1998年)」であり、俺が見たのはレックス・ハリソンが主演した「ドリトル先生不思議な旅(1967年)」。確かミュージカル仕立てになっていたはずだが、どんなストーリーだったかなあと思い悩みながら映画館へ向かう。

さて、本作の脚本は監督のスティーヴン・ギャガンも参加して書かれたオリジナルのようであり、毒を盛られた疑いのある英国女王の命を救うため、その特効薬であるまぼろしの果物を求めてドリトル先生が航海に出るという内容。勿論、一緒に船に乗り込むのはトミー少年と沢山の動物たちであり、優れたCG技術で描かれた後者の愉快な活躍シーンが本作の見所の一つになっている。

しかし、「ジャングル・ブック(2016年)」以降、まあ、多少の技術進歩はあるのかもしれないが、こういった“CG動物”たちが登場する実写映画は数多く製作されており、最早それだけで観客を感心させようというのは無理な話。我々を含む多くの観客が注目しているのは、“ロバート・ダウニーJr.がどんなドリトル先生を見せてくれるのか”の一点だけであり、ひょっとしたら一曲くらい歌ってくれるかもしれない(?)。

そんな彼の演じているドリトル先生は、愛する冒険家の妻リリーに先立たれてしまった失意の人であり、そのショックから立ち直れずに屋敷内に引き籠もっているという設定。まあ、こういった精神的に病んでいるキャラというのは彼の十八番のハズであり、そのままどこまで壊れて行ってくれるのかと興味深く見守っていたのだが、う~ん、これがどうも期待した方向には話が進まない。

まあ、結局は“健全なお子様映画”ということなんだろうが、本作のドリトル先生はせいぜい“調子の悪いときのトニー・スターク”であり、残念ながら役作りに何の工夫の跡も見られない。ロバート・ダウニーJr.にしてみれば、こういった無毒の作品に出演すること自体が“挑戦”だったのかもしれないが、我々を含む多くのファンが期待していたのはヤク中でヨレヨレになったドリトル先生であり(?)、正直、続編が作られたとしても再び映画館に足を運ぶことはないだろう。

ということで、シアター内の隣席とのスペースは先週の3席から1席に変更されていたが、観客は50人弱といったところなのでそれほどの不安はない。ちなみに、コロナの影響もあるのかもしれないが、折角の“お子様映画”にもかかわらず、観客の中に子どもの姿はほとんど見当たらず、まあ、これがロバート・ダウニーJr.の人気を支えているファンの実態なんだと思います。