ゾディアック

2006年
監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ジェイク・ギレンホールマーク・ラファロ
(あらすじ)
1969年7月、カリフォルニア州バレーホで車内にいた若いアベックが拳銃で襲撃されるという事件が発生し、複数の新聞社に“ゾディアック”と名乗る犯人から暗号文付の手紙が送り付けられてくる。その後、事件は連続殺人事件に発展し、敏腕記者のエイヴリーやサンフランシスコ市警のトースキー刑事(マーク・ラファロ)が必死になって事件の解明に取り組むが、いっこうにゾディアックの正体は判明しない…


米国で実際に起きた連続殺人事件をテーマにしたスリラー映画。

どら平太(2000年)」のおかげで映画鑑賞を楽しむだけの心の余裕が残っていることが判明したので、今度はその限界を探るべくちょっと怖そうなデヴィッド・フィンチャー作品に挑戦。正直、何度かTV画面から目をそらしたくなるシーンも出てきたものの、まあ、何とか最後まで見続けることが出来たので、とりあえずは大丈夫だったみたい。

さて、ゾディアック事件の解明は遅々として進まず、期間が長引くに連れて記者のエイヴリー(ロバート・ダウニーJr.)やトースキー刑事といった有能な人材が次々に捜査現場から離れていってしまう。そして最後まで諦めなかったのが、エイヴリーと同じ新聞社で働いていた風刺漫画家のロバート・グレイスミス(ジェイク・ギレンホール)であり、彼が1986年に出版した「Zodiac」という本が本作の原作になっている。

彼はトースキー刑事等の助言を得ながら独自の捜査を続け、ようやく一度は容疑者リストから除外されていたアーサー・リー・アレンなる人物が真犯人(=ただし、共犯者がいる。)である(らしい)ことを突き止めるのだが、公判準備中に彼が急死してしまったため、結局、事件は未解決のまんま。まあ、この胸クソの悪さはフィンチャー作品のお約束みたいなものであり、今さら文句を言っても仕方がない。

実際、上映時間158分に及ぶ大作なのだが、随所にこの監督らしいショッキングなシーンが挿入されているために緊張感が途切れるような心配は無用。ジェイク・ギレンホールマーク・ラファロ、そしてロバート・ダウニーJr.という豪華俳優陣による演技合戦も素晴らしく、十分に満足のいく作品だった。

ということで、あの「ダーティハリー(1971年)」の犯人はゾディアックがモデルになっていたそうであり、本作にも、気晴らしのため映画館に入ったトースキー刑事が、上映中のその作品を最後まで見られずに退出してしまうシーンが出てくる。実話だとしたら気の毒な話だが、思わずニヤリと笑ってしまいました