ダウントン・アビー

今日は、妻&娘と一緒に映画化された「ダウントン・アビー」を見てきた。

現在、同じ映画館では「パラサイト 半地下の家族」や「ジョジョ・ラビット」といった今年のアカデミー作品賞にノミネートされている作品が絶賛上映中なのだが、長年、家族で楽しませてもらったTVドラマ「ダウントン・アビー」が映画化されたとあっては見逃す訳にはいかない。まあ、そんな訳でちょっとした後ろめたさ(?)を覚えながら映画館へ。

さて、ストーリーは、TVドラマシリーズの終了時点から1年半が経過した1927年の出来事が描かれており、その中心的エピソードになるのが英国王ジョージ5世とメアリー王妃によるダウントン・アビー訪問。やや唐突感があるのは否めないが、TVドラマ終了時にダウントンを離れることになっていた次女のイーディスや執事のカーソン、従者のモールズリーといった主要メンバーを再び現場復帰させるためには、それくらいの口実が必要だったのだろう。

そんな一大事に伴って勃発する王室とダウントン間における使用人同士の確執も大変面白いのだが、それ以外にも、アイルランド独立派による国王の狙撃未遂事件、イーディスの妊娠、バローの一夜のアバンチュール、伯爵家の親戚筋に当たるレディ・バグショーの遺産相続、そして最後はバイオレットの健康問題とネタは豊富であり、見ていて退屈するようなことは一瞬も無い。

しかし、やはり映画ということでネタを詰め込み過ぎたようであり、残念ながら多くのエピソードの扱いがやや雑というか、TVドラマ時のようなこだわりや丁寧さに欠けているような気がする。特に、国王の狙撃未遂事件に際して警察がトムの関与を全く疑わなかったのは不自然であり、これ以外の点でも何か彼に対しては必要以上に気を使っているような印象を受けた。

まあ、そんな不満はあるものの、懐かしいダウントン・アビーの人々と再会できた喜びは大きく、正直、とても楽しいひとときを過させて頂いた。我々のような庶民が、こういった貴族の暮らしぶりに好感を抱くのは何かしら不健全のような気もするが、まあ、彼らがやがて時代の荒波に飲み込まれていくのは避け難い事実であり、それを知っているからこそ、娯楽として受け止められるのかもしれない。

ということで、こんなにネタが沢山あるのなら、映画なんかにしないでTVドラマでもう1シーズンやって欲しい、というのがファンとしての本音だが、まあ、そうはいかない大人の事情があるんだろう。幸い、全米でもそれなりの興行成績を収めたようであり、続編が期待できるかもしれないが、そのときはもう少し新しい時代の出来事を見てみたいような気がします。