鋸山

今日は、妻と一緒に千葉県にある大人気の鋸山を歩いてきた。

長引く景気低迷のおかげで首都圏に位置するお手軽な観光地が再び注目を集めているようであるが、おそらくこの山もその一つなんだろう。しかし、車で行くとなると「車の運転時間≦山での歩行時間」の原則(?)に反することは必至であり、そこで思い付いたのが青春18きっぷの活用。

早起きをして宇都宮午前4時38分発の各駅停車に乗り込み、東京~千葉で乗り換えると、鋸山の至近駅であるJR内房線浜金谷駅に9時9分に到着する。いつもの山歩きに比べると少々遅い時刻だが、そんなスケジュールでもOKなのがこの山の利点であり、駅の構内には我々以外にもザックを担いだ人の姿がチラホラ。

さて、身支度を整えて9時16分に歩き出し、最初は町中の狭い道路をてくてく歩いて行く。線路の下を潜ると、その先の分岐(9時25分)のところに案内板が立っており、残念ながら「車力道は通り抜けできません」。台風19号による被害のことは聞いていたものの、ネット上には車力道を通ったレポートも散見される故、ちょっぴり期待していたのだが、こうハッキリ書かれていたのでは無視する訳にもいかない。

仕方がないので車力道は諦め、その分岐から“関東ふれあいの道”に入って急な石段を一歩一歩上っていく。段差を苦手とする妻は早くも辛そうな表情だが、何とか頑張って9時42分に観月台。その先は平坦な道が続くのでホッとしたのも束の間、日本寺分岐(10時9分)~車力道との合流地点(10時24分)の先に続く長い階段は段差も大きく、再び妻のペースがガクッと落ちる。

それでも、10時39分に着いた“地球が丸く見える展望台”はとても見晴らしの良い場所であり、予定外ではあるがここで最初の大休止。周囲には房総半島の先端や対岸の三浦半島等の景色がまるで巨大な地球儀を見ているかのように広がっており、雲間からではあるが富士山の頂上部分を眺めることも出来た。

さて、ここまで来れば山頂はもうすぐの筈であり、10時52分に再出発。しかし、ルートはなかなか複雑なようであり、細かなアップダウンのために先が見通せないっていう感じ。しばらく歩いて行くと高いアンテナが見えてきたのでそこが山頂かと思いきや、本当の頂上はその一つ先のピーク(329.1m。11時12分)の方だった。

苦労してたどり着いた山頂なので妻はゆっくり休みたい様子だったが、先程の休憩のせいで計画より10分以上遅れており、ここは心を鬼にして下山を指示する。往路を引き返して車力道との合流地点(11時42分)の先にある石切場跡(11時51分)への分岐に入ると、そこには様々な遺構や遺物が点在しているが、なんとその先でルートは行き止り。

結局、その先にある日本寺分岐(12時4分)まで下りてこないと日本寺へは行けないようであり、再び長い階段を上り、ラピュタの壁(12時12分)を見学してからようやく日本寺北口管理所(12時17分)に到着。ここからは完全な観光モードへと移行する訳だが、実は事前学習でどうしても分らなかったことが一つある。

それは“一度、大仏まで下りてからロープウェイ山頂駅に戻ってくる方法”であり、@600円の拝観券売り場のおじさんに尋ねてみたところ“大仏まで下りたらそのまま歩いて下山するのが一般的”とのこと。やはり山頂駅に戻るためには、一度下りた道をそのまま引き返すしか方法は無いらしい。

仕方ないので、とりあえず百尺観音(12時21分)を眺めてから山頂展望台への長い階段を上っていくが、妻のペースは一向に上がらず、大勢の観光客にも追い付けないくらい。それでも何とか展望台(12時33分)にたどりつき、“地獄のぞき”を待つ人々の列に並んでみるも、長い行列は遅々として進まず、次第に帰りの電車の時刻が心配になってくる。

結局、“地獄のぞき”や大仏は諦めてロープウェイ山頂駅(12時52分)へと向かい、片道切符(=@500円)を購入して山麓駅まで下りてくる。浜金谷駅から山頂駅までの総歩行距離は5.5kmであり、まあ、普通なら何ていうこともない距離なのだが、段差を苦手とする妻にとっては意外に大変なコースだったのかもしれない。

しかし、大仏を諦めたおかげで時間的にはだいぶ余裕が出来てしまい、途中、「かぢや旅館」の日帰り入浴(=@700円)を利用して冷えた体をのんびり温める。ちなみに、この旅館は2017年6月16日放映の「孤独のグルメSeason6」第10話のロケに使用されたそうであり、ロビーには同年5月1日付けの松重豊のサインが置いてあった。

実は、昼食も同じロケに使われた「漁師めし はまべ」を予定していたのだが、既に店先には“売切れ”の看板がかかっており、第2候補の人気店「さすけ食堂」にも暖簾が出ていない。やむなく浜金谷駅前の「SANGA SOBA&COFFEE STAND」に入り、看板どおりのソバ&コーヒーで遅い昼食を済ませた。

その後、予定どおり15時9分発の各駅停車に乗車し、君津でグリーン車付きの快速に乗り換えて17時12分に東京駅着。予定では17時42分発のJR上野東京ラインを利用するつもりだったが、1本前の17時19分発にギリギリ間に合ってしまい、グリーン車は使わずに宇都宮駅(19時17分)まで戻ってきた。

ということで、階段だらけの鋸山にはちょっぴり苦労させられたが、人気の山を実質グリーン料金だけ(=青春18きっぷ代は昨日で償却済み)で歩いてこられたのだから、まあ、文句は言えない。これで今年の山歩きは終了となる訳だが、来年も無理をせずにのんびり楽しみたいと思います。
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