男鹿岳

今日は、平日に休みを取って日本三百名山の一つである男鹿岳を歩いてきた。

来週は人間ドックの予定であり、たるんだ腹部を少しでも引っ込めるのに役立つ山を物色してみたのだが、めっきり日が短くなってきたこともあって県外遠征は困難。そこで近場に残っていたこの山に白羽の矢を立てたのだが、まあ、“残っていた”のにはそれ相応の理由がある訳であり、少々複雑な気持ちを抱えたまま午前5時半過ぎに塩那道路の終点にある深山園地に着く。

身支度を整えて5時48分に出発。第一ゲートの脇から塩那道路の廃道部分へと入っていくのだが、第二ゲート(5時55分)には“この先は危険なため立ち入らないでください”という看板が付けられており、その先の第三ゲート(6時00分)を越えると人里からの隔絶感みたいなものが気弱な心に重くのしかかってくる。

しかも、道の形状こそ残ってはいるものの、路面はボロボロで雑草は生え放題。笹やススキが背丈ほども繁って見通しの悪くなっている箇所も度々出てくるということで、藪を苦手とする当方の気分は一向に盛り上がってこない。まあ、これがこの山が今まで“残っていた”理由であり、紅葉の時期ならいくらか気も紛れるんじゃなかろうかという目論見も空振りだったようである。

結局、さっさと済ませてしまいたいという気持ちばかりが前面に出てしまい、ダルマ岩(6時24分)~見晴台(6時35分)~石楠花岩(6時58分)~植生回復経過観察小屋(7時56分)と休むことなく歩き続け、8時48分に男鹿岳への取付き地点に到着。ここで本格的な藪コギに備えて10分くらい休憩&栄養補給を済ませてから、複数のテープで示された踏み跡へと突入する。

尾根にたどりつくまでの数分間は藪のトンネルの中を進んでいく感じであり、まあ、これは事前学習で想定していた範囲内。しかし、尾根上に出ても笹藪は胸の高さまで繁っており、周囲は見渡せるようになったもののこれでは全く気が休まらない。“やはり残雪期にすれば良かった”と後悔するも完全に後の祭りであり、仕方がないので数mごとに付けられたテープを目印にして黙々と尾根を上がっていく。

最初のピークが女鹿岳(9時25分)なんだろうが、それを示すものは何も見当たらない。その先から目印テープは少なくなるが、勾配が緩んだおかげでルートはいくらか視認しやすくなり、笹藪の中を泳ぐようにして9時46分に男鹿岳(1777.1m)の山頂に到着。“やったー”というより“やれやれ”と表現した方が相応しい妙な達成感を噛みしめる。

山名板は3枚ほど確認できたが、残雪期用のものは随分高い位置に掛けられており、その頃に訪れていればもっと見晴らしも良かったのかもしれないなあ。自宅に“さっさと下山します”とLINEを入れてから山頂を後にすると、女鹿岳付近でご夫婦連れの登山者とすれ違い、“お互い物好きですねえ”と自嘲気味な挨拶を交わした後、10時37分に取付き地点まで戻ってくる。

ここで二度目の休憩にしようと思っていたが、“さっさと済ませてしまいたい”という気持ちが依然強く、そのまま歩き続けて観察小屋(11時20分)~石楠花岩(12時16分)~見晴台(12時40分)~ダルマ岩(12時51分)。さすがに復路ではいくらか心に余裕が出来たようであり、何度か足を止めてきれいな紅葉を写真に納めさせて頂いた。

その後、13時10分に第三ゲートを潜ってようやく深山園地の駐車場(13時23分)まで戻ってくる。本日の総歩行距離は26.3kmだったが、隣に止まっていた例のご夫婦連れのものと思われる車は何と横浜ナンバーであり、う~ん、夫婦揃って三百名山でも目指しているのかしら。

ということで、10月末とは思えない暖かさにマダニ等の害を心配していたのだが、車に乗り込む前のボディチェックの結果、被害は皆無。しかし、笹藪の下に隠れていた倒木に何度かつまずいたせいで右足のスネには細かい擦過傷がいくつも出来ており、やっぱり長時間の藪歩きは好きになれそうもありません。
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