ジョン・ウィック:パラベラム

今日は、妻&娘と一緒にジョン・ウィック・シリーズの最新作「ジョン・ウィック:パラベラム」を見てきた。

米国では本年5月に公開されて、見事、初登場1位に輝いた人気作なのだが、何故か我が国ではそれから5ヵ月遅れての公開。しかも、そのせいでヴェネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた話題作「ジョーカー」と同日公開になってしまい、おそらく興行成績的にも苦しくなってしまったのではなかろうかと心配しながら映画館へ向かう。(※翌週発表された興行成績によると、やはり1位は「ジョーカー」であり、本作は5位にとどまった。)

さて、ストーリーは、前作「ジョン・ウィック:チャプター2(2017年)」の最後で裏社会のルールを破ってしまい、組織から命を狙われることになった主人公(キアヌ・リーヴス)を待ち受ける苛酷な運命を描いている。しかし、このシリーズにとってストーリーはアクションを見せるための方便に過ぎず、とりあえず目の前で繰り広げられる華麗なアクションを楽しんでいれば良い。

何と言っても世界中の殺し屋が次々に主人公に襲いかかってくるという設定なので、ほとんど何でもありの世界であり、図書館の本であろうが、馬の後足であろうが、展示品の刃物であろうが、ありとあらゆるものが凶器となり、それを使った主人公が迫り来る敵を一人ずつ丁寧に返り討ちにしていく。

面白いのは、襲ってくる悪党どもが伝説的な殺し屋である主人公に対して尊敬と憧れの気持ちを抱いているところであり、どこからともなく“殺されて本望”みたいな雰囲気が漂ってくる。一方の主人公も、そんな好意(?)に報いるべく、わざわざヘルメットと防弾服の間に銃口をねじ込む等して確実に致命傷を与えており、凄惨な殺し合いにもかかわらず、何とも言えない可笑しさがこみ上げてくるという不思議な世界。

また、主人公と一緒に闘う羽目になる美女ソフィア(ハル・ベリー)が披露してくれる犬を使った格闘シーンも本作の見どころの一つであり、真っ先に敵の股間を狙って噛みつきに行く犬たちの戦法は見ていてとても怖ろしい。実は、やや意外にも本作は完結編になっておらず、組織を牛耳るラスボスとの対決は次回作に持越しになっているのだが、その際には是非とも彼女を再登場させて欲しい。

ということで、“ホテル内での殺人禁止”という“規制”のおかげで殺し屋たちの憩いの場所になっていた“コンチネンタル・ホテル・ニューヨーク”が、裁定人の行った“規制緩和”によって一気に地獄のバトルフィールドと化してしまうのはとても教訓的であり、やはり安易な規制緩和は決して人の為にならないということが良く分かりました。