火打山&妙高山(1日目)

今日は、平日に休暇をとって新潟県にある火打山妙高山に出発する日。

この二つの日本百名山をまとめて歩けることを知ったのは今から数年前のこと。しかし、自宅から登山口のある笹ヶ峰までは片道4時間弱もかかるために日帰りは困難であり、山小屋にしようかテント泊にしようか迷っていたときに目についたのが「Naturehike」というブランドの格安テント。

正直、テント泊を再開するにしても以前のように年数回のペースで利用するとは考えられず、その費用のために大枚をはたくことには強い躊躇いがある。しかし、ブランドにこだわらなければ比較的安価に購入できることに気付いてAmazonで検索した結果、「Mountaintop」の大型ザックや「Ohuhu」の寝袋等々、3万円以内で装備一式を揃えることが出来てしまった。

さて、これで出掛ける準備は整ったのだが、次の関門になったのが片道4時間弱というロングドライブであり、何度か計画を立ててはみたものの、予定日が近づくと気力が萎えてしまう。これではイカンと思い、予行演習(?)として選んだのが本年6月の高妻山であり、そこで得たロングドライブの自信を糧にして、午前8時前に笹ヶ峰登山口の駐車場に到着する。

平日にもかかわらず、登山口至近の駐車場には満車の表示が掛っていたが、そのすぐ先にある広い方の駐車場にはまだ十分余裕があり、そこで身支度を整えてから8時4分に歩き出す。登山口で500円の協力金(任意)を支払うことは知らなかったが、まあ、駐車場代だと思えば安いものである。

さて、最初のチェックポイントである黒沢までは樹林帯の中の平坦な道のり。テント泊装備での山歩きは5年ぶりだが、食料を乾き物主体に変えたこともあってそれ程重くは感じない。出来れば水も減らしたかったところだが、テント場のある高谷池ヒュッテの水場は“要煮沸”なので、やむなくプラティパス(=こればかりは安物に替えられない。)に2ℓ強の水道水を入れてきた。

8時47分に黒沢橋を渡ると間もなく十二曲り(9時1分)が始まるが、急斜面には立派な階段が整備されているので難所とは思えない。十二曲りの終点(9時18分)を過ぎても地形図の等高線のとおり上りは続くが、進むにつれて傾斜は弱まり、道の両脇にきれいな紅葉が見られるようになると、次のチェックポイントである富士見平分岐(2063m。10時8分)に着く。

ここまで上ってしまえば残りは楽なものであり、快晴の下、アルプス展望台(10時41分)からの眺望を楽しんでから高谷池ヒュッテ(10時44分)に到着。受付でテント代(=410円と格安!)を支払う際に“コーラみたいなものはありますか?”と尋ねてみたが、“ビールしかない”というつれない返事であり、仕方がないのでプラティパスに入れてきた水道水は全て飲み水として使うことにする。

テント場は水場を渡った先にあり、まだ時刻が早いこともあって先客は一張りだけ。明日の天気予報には傘マークも付いているので、水溜りになりそうな場所を避けてテントの設営に取り掛かるが、先日、家の中で組立て方を練習したばかりなのでトラブルは皆無。前室が狭いのが大きな欠点だが、まあ、ブランド品の1/5未満の値段なんだから贅沢は言えないな。

さて、ここでテントに入って一休みしておけば良かったのだが、まだ昼メシにも早いということで、アタック用ザック(?)に食料と飲みかけのペットボトルを入れて火打山に向かう(11時16分)。重いテント泊装備から解放されて気分は完全なハイキングモードであり、雲一つ無い青空の下を黒沢池分岐(11時21分)~天狗の庭(2110m。11時34分)と軽快に歩いて行く。

紅葉が始まったばかりの湿原はとても美しく、背後に見える火打山の優美な山容とのコントラストも文句なしに素晴らしい。しかし、ライチョウ平への上りに差し掛かると両足が思うように上がらなくなっていることに気付き、う~ん、やはりテント場までの重装備での上りはそれなりの負担になっていたんだなあ。

仕方がないのでスローペースに切り替えてゆっくり上っていくが、今度は秋とは思えない厳しい日差しに悩まされるようになり、ノドが渇くためペットボトルの残量が不安になってくる。12時4分にライチョウ平に着くが、この快晴ではライチョウに出会える可能性はゼロであり、最後の力を振り絞ってようやく火打山(2461.7m。12時36分)に到着する。

山頂からの眺めは素晴らしく、スマホも何とか繋がるので“テント場は電波が届かないけど、心配は無用”と自宅にLINEを入れてから小休止。本当はもっとゆっくりしたいところだが、山頂に日陰がないのが玉に瑕であり、残りほんの僅かとなったペットボトルが底をつく前に下山に取り掛かる(12時46分)。

結局、ライチョウ平(13時8分)まで引き返してきたところでペットボトルは空になってしまったが、ここから先は下るだけなので何とかなるだろう。芍薬甘草湯もテント内に置いてきてしまったので、水分不足で足が痙らないように注意をしながら天狗の庭(13時32分)~黒沢池分岐(13時45分)と歩き、13時49分にテント場に戻ってくる。ここまでの総歩行距離は12.0kmだった。

ということで、テントは10数張りまで増えていたものの混雑にはほど遠く、これなら静かな夜を過ごせそう。山小屋のベンチまで移動してカップラーメン等(=煮沸した水場の水を使用)で早めの夕食をとると、後はもうすることもないのでテントの中でゴロゴロ。明日の天気も何とか午前中くらいは持って欲しいなあと思っているうちに、いつのまにか寝入ってしまいました。