アンダー・ザ・シルバーレイク

2018年
監督 デヴィッド・ロバート・ミッチェル 出演 アンドリュー・ガーフィールド、ライリー・キーオ
(あらすじ)
ハリウッド近郊のシルバーレイクで失意の日々を送っているサム(アンドリュー・ガーフィールド)の日課は、アパートのベランダから双眼鏡を使って他人の部屋やプールを覗くこと。ある日、そんなときに見掛けた美女サラ(ライリー・キーオ)と知合いになり、上手い具合にデートの約束を取り付けるが、翌日訪ねてみるとそこに彼女の姿はなく、部屋はもぬけの殻になっていた…


一部で話題になっていたアンドリュー・ガーフィールド主演のカルト映画。

このシルバーレイクという住宅地は実際に存在しているそうであり、ハリウッドに近接しているせいで映画関係者やそれを目指す若者たちが数多く暮らしているとのこと。主人公のサム君もかつては何らかの夢を抱いてこの地にやってきたのだろうが、残念ながらチャンスは巡ってこなかったらしく、30歳をとうに過ぎた今になってもアパート代すら満足に支払えない始末。

そんな彼が取り付かれた妄想を映像化したのがこの作品であり、その妄想と現実の区分が曖昧なところがカルト映画と呼ばれる由縁。しかも、場所柄のせいもあって、その妄想には「裏窓(1954年)」をはじめとするヒッチコック作品など、懐かしのハリウッド映画の影響が色濃く現われており、そんなところも映画マニアの心をくすぐるのだろう。

さらに、主人公はTVゲームの愛好者でもあり、スーパーマリオゼルダの伝説といった往年の名作ゲームのプレイ画面が映像に現われるだけでなく、失踪したサラの行方を探るというその後のストーリー展開にも大きく関わってくる。ちなみに、主人公が今の境遇を“失敗した人生を生きている”と表現するシーンがあるのだが、それって、最終的にバッドエンドになるのが分っているRPGをプレイしているような気分っていうことなんだろう。

ネット上には“「ラ・ラ・ランド(2016年)」の悪夢版”といった評価が散見されるようだが、個人的に強く類似性を感じたのはデヴィッド・リンチの「マルホランド・ドライブ(2001年)」の方。本作のデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督も映像美には気を使っているようだが、リンチ並みの“凄み”が感じられなかったのはちょっと残念だった。

ということで、本作によるとあちらの国ではいまだに「第七天国(1927年)」や「百万長者と結婚する方法(1953年)」といった旧作がTVで放映されているらしく、本当だとすればそれはとても羨ましいこと。最近、地上波が面白くないのでhnluやNetflixを見る機会が増えているのだが、そちらでも旧作映画のタイトルはほとんど見当たらず、う~ん、我が国の年寄り連中はいったいどんな番組を見て楽しんでいるのでしょうか。