三度目の奈良旅行(第1日目)

今日は、妻と一緒に(家族旅行としては)三度目の奈良旅行に出発する日。

前回、奈良県吉野山を訪れたのは3年前の3月のことであり、金峯山寺をはじめとする4つの世界遺産を中心に車を使って大急ぎで見て回った。そのときの“桜の季節に再訪してみるのも悪くないねえ”という俺の言葉を覚えていた妻が企画してくれたのが今回の旅行であり、吉野町のHPの開花予想等を参考にしながら4月最初の週末に吉野山を再訪することにした。

ところが、各地から桜の開花情報が伝わってくる頃になって急に寒い日が続くようになり、その影響で吉野町の開花予想も数日先送りされてしまう始末。しかし、今になって宿や新幹線等の予約を変更するのは困難であり、まあ、お天気は良さそうなので古都の散歩を楽しむつもりで午前10時過ぎに近鉄奈良駅のホームに降り立つ。

さて、今日は奈良の町中をのんびり見て回る予定であり、中谷堂で購入したよもぎ餅を食べながら猿沢池を半周した後、五十二段を上って興福寺へ。北円堂は柵がしてあるため近づけなかったが、今日のお目当ては昨年10月に落慶したばかりの中金堂であり、拝観料を支払って中に入ってみる。

出来たてのホヤホヤであり、その鮮やかな色彩は古めかしい伽藍が建ち並ぶ中ではやや奇異に映るが、まあ、あと100年もすれば重厚さが出てくるのは間違いのないところであり、そんな長期的な視野に立った整備計画を考えられるのは羨ましい限り。最後に国宝館にも立ち寄ってみたが、オーソドックスな配置に戻された名品の数々は、勿論、どれもこれも素晴らしかった。

次は、満開の桜の下、多くの観光客に囲まれた鹿さん達の姿を眺めながら奈良国立博物館に向う。これまで、明治時代に建てられたという古めかしい雰囲気の建物の前を通ったことは何度もあるが、中に入ってみるのは今回が初めてであり、開館中だったなら仏像館と青銅器館をゆっくり見学。

“今日見られる国宝”は薬師如来坐像と八幡三神坐像の計4体のみであるが、それ以外にも飛鳥時代から鎌倉時代という我が国の仏教美術の最盛期に作られた仏像が数多く展示されており、うん、これはなかなか良い勉強になる。一方、仏像館と渡り廊下でつながっている青銅器館には中国の古い青銅器が展示されているが、これって中国からの返還要求は無いのかしら。

次の目的地である白毫寺は町中からちょっと離れているので、途中、“空気ケーキ。”というケーキ屋さんに立ち寄って一休みしてから、頑張って“歴史の道”を歩いて行く。残念ながら、ようやくたどり着いた白毫寺の名物“五色椿”はやや見頃を過ぎていたが、高円山の麓に位置する境内からは奈良市内を一望することが出来た。

その後、再び歩いて“ならまち”まで戻り、あらかじめ目を付けておいた砂糖傳増尾商店に立ち寄って留守番をしている娘へのお土産を購入。ガイドブックに掲載されていたカフェ風の店はどこも混んでいたので、庚申堂の近くにあった名も無いお店(?)でカレーライスとぜんざいを食べながら体力の回復を図り、いよいよ最後の目的地である元興寺へ。

このお寺が世界遺産に指定されていることは今回の旅行の事前学習で初めて知ったのだが、“ならまち”の真ん中にあるということで、当然、境内はあまり広くない。最大の見所は浮図田(=様々な石塔類がずらっと並んでいる。)の方角から眺めた極楽堂と禅室の古瓦であり、それは飛鳥時代から伝わっているものらしい。また、発掘の様子を紹介した展示物も興味深いものであった。

さて、近鉄奈良駅まで戻る途中、マツコご推奨という魚万のバターポテトを食べてみたが、う~ん、普通のさつま揚げの方が美味しいんじゃないかなあ。その後、今夜の宿がある大和八木駅まで電車で移動するが、まだ明るいので先に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている“今井町”を見に行くことにする。

残念ながら時刻が遅いため建物の中には入れなかったが、時代劇に出てくるような町並みが続いている様子はなかなか珍しく、通りをぶらぶら歩きながらタイムスリップ気分を楽しむ。その後、駅前にある“Pizzeria Bar Buono”というお店でピザとパスタの夕食を済ませ、向かいのセブンイレブンで明日の朝食を購入すれば、これで本日の日程はすべて完了。

ということで、奈良市内の桜はどこも満開であり、そんなところをのんびり歩けるのが奈良の良いところ。名所旧跡の類いは京都の方が充実しているのかも知れないが、ビルや車、それに観光客の数が多すぎるところが大きな難点であり、我々のような田舎者にはちょっとストレスになってしまうんですよね。
f:id:hammett:20190413074501j:plain