今日は、妻&娘と一緒にDCエクステンデッド・ユニバース・シリーズの最新作である「アクアマン」を見てきた。
「ジャスティス・リーグ(2017年)」でもなかなか良い味を出していたアクアマンの初単独作品ということで楽しみにしていたのだが、娘がしきりに心配していたのが監督を務めるジェームズ・ワンのこと。彼女によると、彼の代表作「ワイルド・スピード SKY MISSION(2015年)」は相当のおバカ映画らしのだが、まあ、暗すぎると批判されているDCEUにとってその脳天気さが吉と出ることを期待しながら映画館へ。
さて、ストーリーは、海底王国アトランティスの女王を母に持つアクアマンことアーサー・カリーが、その同盟国ゼベルの王女メラの願いにより、アトランティスとゼベル連合軍による地上侵略計画を阻止しようとするもの。現在、アトランティス国王の地位にあるのはアクアマンの異父弟で好戦的なオームなのだが、伝説の矛トライデントを入手すれば彼からその王位を奪うことが出来るらしい。
単独シリーズの第一作目ということで、まずはアクアマンの出自やその置かれている状況といったお約束の説明が必要になるのだが、そこは「ワイルド・スピード」の監督ということで(?)、良く言えば極めてスピーディに、悪く言えば何のヒネリも抑揚もなしに、直截的な表現を連ねることによってその難題を楽々クリアしてしまう。
そんな暴走気味の演出はそれだけに止まらず、仲間内の相談が終了した直後に敵の襲撃を受けるといったご都合主義満点のシーンも度々登場。その甲斐あって、波瀾万丈の展開の末、オームとの闘いに勝利したアクアマンがアトランティス王となり、海と地上の平和が保たれる、というところまでを一気に見せてくれるのだが、う~ん、感動はいま一つと言ったところかなあ。
最大の不満は、折角、海底という物珍しい舞台を選んでおきながら、それを活かした映像表現が見当たらないところであり、海底ならではのユニークな生活様式みたいなものが何一つ描かれていない。視覚的に一番面白かったのがシチリア島における地上での追いかけっこシーンというのは、アクアマン的に相当マズイのではなかろうか。
まあ、元々がマンガであり、これだけの大ネタを一話完結にまとめるためにはやむを得なかったのかもしれないが、正直、脚本はあまりにも粗雑であり、オームとゼベル国王の会談中に潜水艦で襲撃してきたのは誰か、アトランティスの追っ手が地上では呼吸できないのは何故か、といった点に関する説明も不十分だったように思う。
ということで、突飛なところは(可能な限り)初期設定に止め、ストーリー的にはリアルを追求するというマーベル作品とは対照的な内容であり、アメコミ映画の地位向上(?)にも繋がりそうもないところがちょっと残念。次回作の監督もジェームズ・ワンが務めるようなら、映画館まで足を運ぶのは少々しんどいかも知れません。