アリー/スター誕生

今日は、妻&娘と一緒にレディー・ガガが主演を務めた「アリー/スター誕生」を見てきた。

同じ日に公開が始まった「シュガー・ラッシュ:オンライン」とどちらを先に見に行くか娘に尋ねたところ、迷う様子も見せずにこちらを選択。そういえば、以前、LGBTを支援するガガの取組みに感心したという話をされたり、「Born This Way」の入ったCDを買わされたりしたこともあったなあ、とやや古い記憶を思い起こしながら映画館へ。

さて、ストーリーは最早お馴染みの“スター誕生”であり、個人的にはウィリアム・A.ウェルマンのオリジナル版、ジョージ・キューカーのリメイク版に引き続き、これが3作目の鑑賞。バーブラ・ストライサンドが主演したリメイク版のみ未見だが、前2作に比べると“ダメな夫を支える献身的な妻”というイメージはやや後退し、その分、“自立した女性”がより前面に出て来たっていう感じかなあ。

「私はノーマン・メイン夫人です」という例の名セリフも、本作では「私はアリー・メインです」に変更されており、時代の流れを感じさせるが、まあ、聞いていてこちらの方が自然なのは間違いないところ。草葉の陰で聞いていたジャクソン・メインもきっと満足しているに違いない。

面白かったのは、アリーが自分の鼻の形にコンプレックスを抱いているという設定であり、これはレディー・ガガ自身の悩みでもあったらしい。そういえば前作のバーブラ・ストライサンドのデカ鼻は有名であり、ジュディー・ガーランド版にも鼻にパテを塗られるシーンがあったハズ。オリジナル版については不明だが、ヒロインの鼻の悩みというのが“スター誕生”の裏テーマになっているのかも知れないね。

一方、落ち目の旦那を演じているのは脚本・監督も兼ねているブラッドリー・クーパーであり、歌やギター演奏は素人とのことだが、スクリーンに映し出されるその姿は一流のロック・ミュージシャンそのもの。コンサート会場の大観衆の前で披露する歌唱力も本物であり、やっぱり才能のある人っていうのは違うんだなあ。

ちなみに、詳細な時代設定は不明だが、バーのBGMに使用されていたオールマン・ブラザーズ・バンドの名曲「Whipping Post」が発表されたのは1969年であり、また、アリーの部屋の壁にキャロル・キングのLPジャケットが飾られていたことから推測すると、おそらく1970年代前半が本作の舞台になっているものと思われる。

残念ながら“伝説的なロック・バンド”は出演していないため、朝のワイドショー等で話題になることは少ないだろうが、正直、個人的な音楽の好みからすれば本作の方が「ボヘミアン・ラプソディ(2018年)」よりずーっと上。モダンジャズ好きのデイミアン・チャゼル(=1985生)ばかりでなく、1975年生まれのブラッドリー・クーパーもこういった我々の世代の音楽を愛してくれているのはとても嬉しいものである。

ということで、“スター誕生”初体験となった娘も喜んでくれたようであり、特にジャクソン・メインが首吊り自殺を遂げるという展開にはちょっぴり衝撃を受けていたみたい。しかし、“首吊り”のイメージが本作の開始早々に登場していたことは彼女に指摘されて初めて気付いたところであり、クーパー監督もなかなかやるもんです。