大山

今日は、日本百名山の一つである鳥取県の大山を歩いてきた。

ちょうど木・金の日程で岡山県への出張があったので、業務終了後、昨夜のうちにレンタカーを使って“夏山登山道に最も近い宿”がセールスポイントの「大山館」に移動。早寝が祟って今朝は午前2時過ぎに目が覚めてしまったが、無料体験中のNetflixでダウンロードしておいた「ラ・ラ・ランド(2016年)」をスマホで見ながら暇を潰し、フロント脇に用意されていたお弁当を受け取って日の出前の6時3分に宿を出る。

周囲はまだ薄暗いが、人気の山ということで通りには登山姿の人影がチラホラ。事前学習で知った「一木一石運動」に協力させて頂くため、大山寺橋を渡った先の駐車場にある「石置き場」で手頃な大きさの石2個をザックに詰め込み、そのすぐ先にある登山口(6時6分)から夏山登山道に入る。

階段状に整備された登山道にはさらに多くの登山者の姿が見られたが、道幅は十分に広いので自分のペースで歩き続けるのに特に支障はない。しばらくするとようやく山陰から太陽が顔を出してくれるが、周囲の紅葉は既に見頃を過ぎているようであり、う〜ん、ちょっと期待ハズレだったかなあ。

しかし、“行者谷分かれ”の分岐(6時48分)を過ぎたところで何気なく右手に目をやると、そこには日本海の景色が広がっており、あの綺麗なカーブを見せているのが弓ヶ浜に違いない! 正直、海なし県に住んでいる者にとって、山の上から海が見えるというのはめったにない体験であり、もうそれだけで嬉しくなってしまう。

6合目にある避難小屋(6時58分)の先からはさらに見晴らしが良くなり、三角形の影富士ならぬ“影大山”の姿もはっきり視認できる。弓ヶ浜の隣に見える中海から宍道湖にかけては低い霧のようなものに覆われていたが、下山時に耳に入った情報によるとあの遠くに見える島影が隠岐の島だそうであり、何度も立ち止まってはその絶景に見入ってしまう。

さて、登山口からずっと続いてきた階段が終るとルートは平坦な木道(7時23分)へと変化するが、霜がびっしりと付着したそれは如何にも滑りやすそうであり、今回、ここが一番緊張した場面。そんな木道を手摺代りのロープの助けも借りてソロソロ歩いて行くと最後のところで道は二手に分かれており、まずは山頂手前にある避難小屋の裏手を通って7時39分に山頂碑(1705m?)。

すぐ目の前には弥山(1709.4m)や最高峰の剣が峰(1729m)といった魅力的なピークが聳えているのだが、残念ながら崩落防止のためにこの山頂碑の先は立入禁止。しかし、ここからの眺めも素晴らしいものであり、6、7人の先客に混じって周囲の絶景を何枚もカメラに収めさせて頂いた。

その後、避難小屋まで移動して下界から運んできた石2個を下ろし、小屋の中に入って本日初めての休憩を取る。大山館で用意してくれたお弁当の中には大きなおにぎりが2個入っていたが、一つ食べただけでもうお腹一杯。今回は出張のついでということで荷物を極力減らしたため、お湯やバーナー類は持参しておらず、コーヒーも飲めないので早々に下山(8時7分)に取り掛かる。

さて、復路では石室に立ち寄る予定だったが、あの霜の張り付いた木道を見ただけでそんな意欲はあっさり消失。ようやく木道から解放されると今度は上ってくる大勢の登山者とのスレ違いに難儀することになるが、6合目避難小屋(9時00分)の先の“行者谷分かれ”分岐(9時10分)を行者登山口方面に入るとそんな喧噪ともオサラバ。

往路ではあまりパッとしなかった紅葉もこちらではまだ十分に観賞可能であり、開けたガレ場(9時26分)のところからは迫力満点の大山北壁を間近に眺めることが出来る。その先の分岐(9時32分)を左手に下りていくと間もなく大神山神社(9時45分)であり、そこから先では紅葉目当ての観光客の姿がドッと増えてくる。

奥宮にお参りした後に石畳の参道を下っていくと、途中にある金門(9時52分)のところでは今がまさに紅葉の盛り。続く大山寺は有料なので一瞬躊躇したが、檀家が無いのでは仕方がないので300円の拝観料を支払ってから本堂(10時4分)等をお参りし、10時14分に大山館まで戻ってくる。本日の総歩行距離は8.0kmだった。

ということで、大山館のお風呂で汗を流させて頂いてからレンタカーで岡山駅に戻り、新幹線を乗り継いで無事帰宅。今回、一生縁が無いだろうと思っていた西日本の名峰を歩いてこられたのは誠に幸運なことであり、数えてみたら日本百名山もこれで42座目。しかし、山歩きだけのために北海道や屋久島まで足を運ぶ気には到底なれず、コンプリートは夢の夢で終りそうです。