会津朝日岳

今日は、平日に休みを取って福島県にある会津朝日岳を一人で歩いてきた。

既に各地から紅葉の話題が聞えてくるのだが、なかなか上手く都合が付かなくて今年の紅葉見物はまだ実現できていない状況。このままグズグズしていると好機を逸してしまう可能性もあるので、出番だった先週末の土曜日の代休ということにして、午前5時過ぎに「いわなの里」の先にある赤倉沢登山口に着く。

駐車場には既に1台の車が止まっていたが車内に人のいる気配は無く、登山届け提出後、周囲が明るくなるのを待って5時45分に歩き出す。天気予報は良好だったはずなのだが、周囲には濃い霧が立ち込めており、小松左京の「霧が晴れた時」を読んだばかりということもあって、正直、ちょっぴり気味が悪い。

しかし、生まれてこの方、明らかな怪奇現象を体験したことは皆無の故、おそらくこのまま平凡な一生を終えるのだろうと思い直して沢沿いの道を歩き続け、6時32分に最初のチェックポイントである三吉ミチギの水場に着く。意外に時間が掛ったなあと思って暗算してみると、ここまでの所要時間は47分であり、コースタイムの50分とそう変らない。

通常、上りの場合はコースタイムの2/3〜3/4くらいのペースで歩いているはずなので今日の不調は明らかだが、ここで焦ると6月の中ノ岳の二の舞になってしまう可能性大。シャリバテの影響を考慮して持参した菓子パンを半分くらい口に押し込んでから再び歩き出し、妻直伝の急がず休まずのペースでジグザグになった登山道を一歩ずつ上がっていく。

すると間もなく山陰から顔を出した太陽が周囲を明るく照らすようになり、7時21分に着いた人見の松のところからは雲海に浮かぶ周囲の山々を綺麗に見渡すことが出来る。次の叶の高手へと続く緩やかな岩尾根では道の両側に立つ灌木の紅葉がちょうど見頃を迎えており、おかげでスタート時の疲労感(?)をすっかり忘れさせてくれる。

小ピークである叶の高手(7時40分)の先ではようやく会津朝日岳の山頂を視認できるようになるが、先程、駐車場の車の主と思われる下山者一人とすれ違ったので、これから先には誰もいないハズ。二本の大クロベの横を通って一旦下った先が熊の平(8時7分)であり、避難小屋(8時11分)を右手に見ながら泥濘んだ道を上り返すと、ピークというより肩のようなバイウチの高手(8時25分)に着く。

その先からはそれなりに傾斜のある岩場になるが、まあ、上るだけならどこを上ってもそう怖くない。おそらく下るときにはもっと安全なルートがあるのだろうと思いながら上り続け、ようやく岩場のピークに達するが、そこに山頂を示す人工物は見当たらず、岩に書かれた赤ペンキもさらに右手に進むように促している。

それに従って少々歩きづらいトラバース道を進んでいくと8時49分にちょっと開けた場所(1624.3m)に到着し、そこには写真で見たことのある山座同定盤も設置されている。こっちから眺めても先程の岩場のピークの方が高いのは明らかだが、まあ、仕方がないので割れた山名板を山座同定盤の足下に据えて山頂到達の証拠写真を撮らせて頂いた。

雲が多いため快晴とはいかないが、天気予報どおりこの頃の日差しが一番強かったようであり、紅葉に染まった周囲の山々を眺めながら無人の山頂で腹拵え。やはり早起きをしたのは正解であり、もう少しして日が陰ってしまったらこの360°の絶景も魅力半減だろうと思いながら、LINEを使って妻&娘に美しい紅葉の写真を送って差し上げた。

さて、9時16分に下山に取り掛かると復路は往路を引き返すだけであり、岩場のピークからの下りでは慎重に“正しい”ルートを見極めながら安全第一で下りていく。バイウチの高手(9時43分)の先では熊の平(9時56分)〜叶の高手(10時25分)〜人見の松(10時41分)と美しい紅葉を写真に収めながら歩き続け、三吉ミチギ(11時12分)を過ぎて11時50分に駐車場着。本日の総歩行距離は11.7kmだった。

ということで、帰宅してから確認したところ何とかコースタイムを下回るペースで歩いてこられたようであり、とりあえずホッと一安心。しかし、スタート直後の疲労感に関しては、最近のトレーニング不足のみならず、老化の影響を考慮する必要があるのかもしれず、しばらくはあまり無理をせずに様子を見てみたいと思います。