今日は、妻&娘と一緒に2泊3日の日程で北海道旅行に出掛ける日。
今年の夏の旅行は長野の上高地の予定だったのだが、あいにく長男の都合が付かないことが判明して敢えなくドタキャン。その時点では既に夏休みシーズン中の旅行の手配は難しそうだったので、日程を10月初旬まで遅らせ、行き先も娘のリクエストにお応えして北海道に変更。そういえば、彼女って雪祭りシーズンの北海道しか知らないんだよね。
さて、一口に北海道と言っても相当広いので、今回は網走→知床→釧路という道東エリアに焦点を絞って2泊3日の行動計画を作成。例によって少々ハードなスケジュールではあるが、無事、妻&娘の同意を取り付けてホッとしていると、出発の間際になって台風25号が発生してしまい、その影響を不安に思いながら羽田空港でJAL565便に搭乗。午前9時過ぎに女満別空港に到着する。
いつもどおりJTB経由で依頼したタイムズカーレンタルで車をお借りし、最初の目的地である「博物館 網走監獄」に向う。実は、自然観察にあまり興味のない娘が北海道旅行を言い出したのは、彼女が愛読中の漫画「ゴールデンカムイ」の影響であり、ヒロインであるアシリパさんの父親が収監されていたこの網走監獄もその“聖地”の一つになっている。
実際には、網走刑務所で使用されていた旧建造物を移築して出来た施設なので、本物の網走刑務所とは場所もちょっと離れているのだが、気持ちの良い青空の下、紅葉に色付き始めた樹木が点在する敷地内に刑務所らしい(?)凄惨な雰囲気は皆無。こんな所なら一月くらいゆっくりお世話になるのも悪くない。
見学順路に従って庁舎や職員官舎、二見ヶ岡刑務支所といった興味深い建物をゆっくり見て回ったが、何といっても感動的なのが五翼放射状平屋舎房。ここは「ゴールデンカムイ」で犬童典獄と第七師団とが死闘を繰り広げた場所と言うのみならず、ミシェル・フーコーが「監獄の誕生」で取り上げていた“一望監視方式”の実例を目の当たりにすることが出来るのだ!
また、これまで比較的真面目な展示が多かったにもかかわらず、ここでは“昭和の脱獄王”こと白鳥由栄(=「ゴールデンカムイ」の人気キャラの一人である白石由竹のモデルでもある。)の脱獄シーンがマネキンを使って再現されているのがとってもお茶目。晩年の彼の肉声を聞くことも出来た。
最後に、これも「ゴールデンカムイ」に登場する教誨堂を見学した後は、敷地内の「監獄食道」に入って昼食をとる。裏切り者(?)の娘が「オホーツク網走ザンギ定食」を注文したので、代わりに俺が「監獄食A(サンマ)」というものを食べてみたが、当然、味は普通の定食とそう変わりはなく、お決まりの麦飯もなかなか美味しかった。
さて、次なる目的は知床五湖でのトレッキングであり、左手にオホーツク海を眺めながら知床半島まで一気に車を走らせ、午後2時頃に知床五湖フィールドハウスに到着。知床五湖には高架木道と地上遊歩道という二つのトレッキング・コースが整備されているのだが、後者を歩くためにはここでヒグマ対策等に関する事前レクを受ける必要がある。
まあ、内容は10分程度の簡単なものであり、それを済ませると地上遊歩道の入口へと案内される。コースはさらに全周3.0kmの大ループと1.6 kmの小ループに分かれていたが、当然、娘の選択は後者であり、ヒグマは怖いけど、離れた場所からならチラッと見てみたいなあ、という複雑な気持ち(?)を抱いて歩き始める。
残念ながらヒグマどころかネズミ一匹出てこなかったのだが、途中にある二湖や一湖の展望台からの知床連山の眺めはなかなかのものであり、もう少し遅かったら素晴らしい紅葉を楽しむことも出来たのだろう。ルートはその先で高架木道に接続し、多くの観光客と一緒になって記念写真を撮り合いながらフィールドハウスまで戻ってきた。
さて、景色は綺麗だったけど動物には出会えなかったねえ、と話しながら今夜の宿に向って車を走らせていると、その声を聞きつけたかのように道端にキタキツネ、エゾシカの牡、牝が次々に現れてお別れのご挨拶。世界遺産はやっぱり違うなあと変な感心をしながらウトロにある「KIKI知床 ナチュラルリゾート」に着いた。
チェックインを済ませて部屋に入ると時刻は既に午後4時を過ぎていたが、これで終らないのが昭和生まれの浅ましさ(?)。夕食までゴロゴロしていたいという娘を部屋に残し、妻と二人、ホテルのフロントで教えてもらったカラフトマスの遡上を見学するためにペレケ川の河口へ向う。
残念ながら既に産卵を済ませたらしいカラフトマスはボロボロの状態であり、正直、見ていて楽しいものではない。しかし、これで本日の日程を終らせてしまうのもあんまりなので、最後の力を振り絞って海岸側にあるオロンコ岩の頂上へ。雲が多かったため綺麗な夕日は見られなかったが、振り向いたときに眼に入るゴジラ岩の姿は本物(?)ソックリであり、これってもっと有名になっても好いんじゃなかろうか。
ということで、晴天に恵まれたこともあり、全てのスケジュールを楽しく、無事に済ませることが出来て大満足の一日。ホテルの夕食はビュッフェ形式だったが、種類は豊富で味の方もなかなかのもの。いつもは小鳥のエサくらいしか食べない娘が何度もおかわりをしていたのがとても愉快でした。