2015年
監督 マーチン・サントフリート 出演 ローランド・ムーラー、ルイス・ホフマン
(あらすじ)
1945年5月。ようやくナチス・ドイツの占領から解放されたデンマーク軍は、海岸線に埋められたままになっている地雷をドイツ軍の捕虜を使って除去しようとする。その作業の監督をすることになったラスムスン軍曹(ローランド・ムーラー)は、早速、現場に赴くが、そこで彼を待っていたのはセバスチャン(ルイス・ホフマン)をはじめとするまだあどけなさの残る少年兵ばかりだった…
デンマーク人のマーチン・サントフリートが脚本・監督を担当した2016年アカデミー外国語映画賞ノミネート作品。
“第二次世界大戦秘話”的な雰囲気を持つ邦題にすっかり騙されてしまったのだが、英語版のタイトルは「Land of Mine」であり、“私の土地”と“地雷原”のダブルミーニングになっている。正直、リチャード・レスター監督の「ジャガーノート(1974年)」を見て以来、爆発物系の作品は大の苦手なのだが、幸い、観客を無駄にハラハラさせるような類いの作品では無かった。
しかし、そうはいっても地雷の除去が危険な作業であることに間違いはなく、ごく簡単な訓練だけでいきなり現場を任されることになったドイツ人の少年兵たちは、劣悪な生活環境の下、些細なミスから、または精神的な重圧に耐えきれずに、一人、二人と悲惨な最期を遂げていく。
そんな少年兵を監督しているラスムスン軍曹は至って平凡なデンマーク人であり、ドイツに対して深い恨みを抱いているし、事故で愛犬が亡くなればつい八つ当たりもしたくなる。しかし、そんな普通の人間だからこそ、日常的に少年兵たちと接していれば自然と情が湧いてくる訳であり、ラストでの彼の行為に対して異を唱える人は皆無だろう(と思いたい)。
ということで、本作は、大戦の被害国であるデンマークが自らの加害行為(=捕虜に地雷の除去を命じることは明白なジュネーヴ条約違反らしい。)をあからさまに描いている訳であり、その背景には加害国であるドイツが自らの加害行為と真摯に向かい合ってきたという歴史の重みがあるにしろ、う〜ん、これはちょっと凄いことだなあ。ドイツと同じ加害国でありながら、我が国の映画人たちが自らの加害行為を描くことに躊躇しているうちに、こんなにも大きな差が出来てしまっていたんですねえ。