2017年
監督 ポール・キング 出演 ヒュー・ボネヴィル、ヒュー・グラント
(あらすじ)
ロンドンのブラウン家で暮らしているパディントンは、近所の骨董品店で一冊の飛び出す絵本に出合い、それをペルーで暮らしているルーシーおばさんの誕生日プレゼントにしようと思い立つ。その絵本を買うためにアルバイトを始めたパディントンだったが、ある晩、絵本が何者かによって盗まれる現場に偶然居合わせてしまい、犯人と間違われて警察に逮捕されてしまう…
なかなか面白かった「パディントン(2014年)」の続編。
実は、骨董品店にあった飛び出す絵本には、移動遊園地の創業者が遺した財宝の在処を示すヒントが隠されており、その事情を知っている元有名俳優のフェニックス・ブキャナン(ヒュー・グラント)こそが絵本を盗んだ真犯人。それにもかかわらず、無実のパディントンがあっさり刑務所送りになってしまうのは、やはり移民(=移熊?)に対する差別の存在を示しているんだろう。
それ以外にも排斥主義者のお隣さん(=カリーさんというらしい。)は出てくるが、前作に比べると移民問題に関係するようなエピソードは控えめであり、まあ、普通のファミリー映画になってしまった印象が強い。しかし、そのファミリー映画としての出来はなかなかのものであり、パディントンの素直なやさしさが現代人の荒んだ心をそっと癒やしてくれる。
特に感心したのは刑務所内でのエピソードであり、囚人服の洗濯を受け持つことになったパディントンは一足の真っ赤な靴下と一緒に洗濯機を回してしまったため、全ての囚人服を可愛らしいピンク色に染め上げてしまう。当然、他の囚人たちの怒りを買うことになるのだが、このピンク一色の雰囲気に暴力沙汰は似合わず、最後は全員と仲直り。この異端者に対するやさしい眼差しこそが本シリーズの大きな魅力になっているんだよねえ。
ということで、騒動の元になる飛び出す絵本に描かれていたのはロンドン市内の観光名所であり、羨ましいばかりの“ロンドン愛”は前作に引き続き本作でも健在。この寛容さと郷土愛というちょっと考えると相反するようなテーマをきちんと両立させているのはとても素晴らしいことであり、出来れば映画の中だけではなく現実の世界でも実現させて欲しいと思います。