ブラックパンサー

今日は、妻&娘と一緒にマーベル・シネマティック・ユニバース・シリーズの最新作「ブラックパンサー」を見てきた。

昨日見たばかりの「シェイプ・オブ・ウォーター」の余韻にいましばらく浸っていたいという気持ちもあったのだが、現在、絶賛公開中の米国における本作に対する高評価を耳にして居ても立ってもいられない気分。仕方がないので(?)俺の実家への訪問を早めに切り上げ、帰宅途中に映画館へ向う。

さて、ストーリーは、父王の急死によってワカンダの若き国王になったティ・チャラの前に、彼の従兄弟として王位継承権を主張するエリック・キルモンガーが現れるというもの。彼の出生の秘密を知ったティ・チャラは、亡父の過ちを償う意味も込めてキルモンガーからの挑戦を受諾するが、その結果は意外なことに…

正直、「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(2016年)」におけるブラックパンサーの印象はそれほどでもなく、まあ、アメコミ史的には“最初の黒人ヒーロー”ということになるらしいが、マーベル・シネマティック・ユニバースには既にウォーマシンやファルコンといった先行事例が存在するため、それだけで売り出そうというのはちょっと無理。

そこで本作が採用したのはブラックパンサーのユニークな世界観を前面に押し出す作戦であり、ヴィブラニウムを独占することによって長らく我が世の春を謳歌してきたワカンダが、その利益を他国のために解放するか否かという問題設定はとても興味深いし、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”に対する皮肉としても有効。

また、王位継承については男子に限られているものの、ワカンダにおける女性の社会進出(?)は目覚ましく、王の親衛隊(=ドーラ・ミラージュと言うらしい。)のメンバーは全員女性。特にそのリーダーを務めるオコエのアクションシーンは本作の見所の一つにもなっている。

さらに、ティ・チャラの妹で天才的発明家のシュリという美少女も登場するのだが、この二人の超強力キャラに挟まれてもその魅力が色褪せないというナキア役のルピタ・ニョンゴの存在感は大したもの。立派にアクションはこなしているし、新国王となったキルモンガーの命に服さざるを得ないと訴えるオコエに対し、「国に従うのではない、国を救うのだ」と言い放つシーンはとても感動的だった。

ということで、黒人や女性といった現実世界での弱者たちをヒーローに据えることについては“現実逃避”という批判も聞こえてきそうだが、まあ、それは(多かれ少なかれ)他のアメコミ作品にも言えることであり、少なくとも本作には「ワンダーウーマン(2017年)」に負けないくらいのパワーがある。将来的にはキャプテン・アメリカとの共演も期待できそうだし、ここは素直にニューヒーローの成功を喜びたいと思います。