アノマリサ

2015年作品
監督 チャーリー・カウフマン
(あらすじ)
顧客サービスの専門家でそれに関する著書もあるマイケル・ストーンは、ある日、講演のために昔住んでいたことのあるシンシナシティを訪れる。最近の彼の悩みは周囲の人々の顔や声がみんな一緒になってしまうということであり、試しに昔の恋人ベラを宿泊先のホテルに呼び出してみるがやっぱりダメ。そんなとき、ホテル内の一室から明らかに他の人とは異なる女性の声が聞こえてくる…


チャーリー・カウフマンが監督&脚本を手がけたストップモーションアニメ。

彼の名前とアカデミー賞の長編アニメ部門にノミネートされていたという記憶だけを頼りに見てみることにしたのだが、いやはや内容は驚くようなことばかり。幸い(?)妻や娘はそれぞれの用務に忙しかったようで終始俺一人での鑑賞となったのだが、正直、日曜日の昼間に居間のTVで見るような作品ではなかった。

さて、その最大の驚きは本作が正真正銘のストップモーションアニメだったということであり、恥ずかしながら、見ている間はずっと「LEGO(R)ムービー(2014年)」みたいなストップモーション風のCGアニメだとばかり思っていた。

正直、キャラクターのスムーズな動きといい、ベッドに横たわったときの質量感といい、俺が今まで見てきたストップモーションアニメのレベルを大きく凌駕しており、DVDに含まれているメイキング映像を見ていなかったら、今でもCGアニメだと信じていたんじゃなかろうか。

もう一つの驚きは、主人公のトイレにおける排尿シーンや、唯一人女性の顔や声を持つリサとのベッドシーンがとてもリアルに描かれているところ。まあ、これもストップモーションアニメだからこそ許されるのだろうが、普通なら編集でカットされてしまうような些末な行為までがしっかり再現されており、特に後者の生々しさには昔のブルーフィルムを見せられているような気分にさせられてしまった。

ということで、リサの正体が芸者人形だったというオチも良く効いており、大人向けのアニメとしてはなかなかの出来だと思うが、正直、妻や娘と一緒に見ていたら相当気まずい雰囲気になっていたに違いない。今後、居間のTVでDVDを見るときにはもう少し詳しい事前学習が必要になりそうです。