大英自然史博物館展&ミュシャ展

今日は、娘と一緒に東京で開催中の「大英自然史博物館展」と「ミュシャ展」を見てきた。

娘が「ミュシャ展」に興味を持っているのは知っていたのだが、正直、それだけのために上京するのはちょっとだけ億劫。そんなところに飛び込んできたのが上野の国立科学博物館で今日から開催される「大英自然史博物館展」のニュースであり、まあ、二つまとめて見れば不足はないだろうということで、親戚の法事があって参加できない妻を残して東京へと向かう。

開館時刻(=午前9時)の30分くらい前に着いた国立科学博物館の前には既に100mくらいの行列が出来ていたが、娘が話し相手になってくれるので一時間くらい待たされるのは何でも無い。入口では、先着1000名限定という特製ピンバッヂ(=日替わりらしいが、初日の今日は始祖鳥だった。)を有り難く頂戴することが出来た。

さて、館内には多くの標本や貴重な資料が展示されており、フラッシュを使わなければ撮影OKということなので、時折、スマホを取り出して写真を撮りながらのんびりと見て回る。目玉の一つである始祖鳥の化石の前には大きな人だかりが出来ていたが、まあ、我が家が足を運ぶようなメジャーな展覧会では見慣れた風景であり、むしろ恐鳥モアやサーベルタイガーといった貴重な化石を比較的ゆっくりと鑑賞できたことの方が意外に思えるくらい。

ちょっと面白かったのは小鳥の標本の展示方法であり、そのほとんどがお腹を上にして仰向けに横たわっている。娘と一緒に“剥製というより死骸だね”と思わず笑ってしまったのだが、まあ、当時の学者にとってみればそれらはあくまで研究標本であり、鑑賞用ではなかったのだから仕方がない。そんな無骨な真面目さがとても大英帝国らしかった(?)。

上野で美術館や博物館を見学したときの定番になりつつある精養軒で昼食をとった後は、「ミュシャ展」が開催されている国立新美術館へ移動。いつもなら銀座線を使うところだが、前回、千代田線(乃木坂駅)を使えば降りてから歩かなくて済むことを学んだので、山手線の有楽町駅まで行って千代田線に乗り換える。ところがこの乗換えが結構大変であり、次回は東京駅で大手町に乗り換えた方が楽なのかもしれない。

国立新美術館も人出が多かったが、おそらくその6割以上は同時開催中の「草間彌生 わが永遠の魂」のお客のようであり、「ミュシャ展」の方は並ばずにすんなり入場出来た。で、いきなり目の前に現れるのが今回の目玉である「スラヴ叙事詩」の連作群であり、巨大なキャンバスにミュシャらしからぬ(?)力強い筆致で描かれた20点の作品はどれもこれもなかなかの大迫力。

100年近く前の作品ではあるが、伝統的というか、決して奇を衒わない技法で描かれているために古さを感じさせることはなく、その鮮やかな色彩や“権威”よりも“民衆”を優先させた主題からはむしろ現代的な印象を受ける。まあ、民衆にとってみれば勝っても負けても戦争は災厄にしか過ぎない訳であり、両世界大戦の狭間に描かれたこの作品のメッセージがいまだに過去のものになっていないのはとても悲しいことなのだけれども。

さて、いきなり重〜いテーマで幕を開けた展覧会であったが、次のコーナーからは柔らかで丸みのあるミュシャらしい(?)作品のオンパレードであり、ようやくホッと一息入れることが出来る。祖国チェコに帰国した後は、市庁舎のホールの装飾や紙幣、切手のデザインといった細かな仕事も手掛けていたようであり、うん、きっととても良い人だったんだろうなあ。

ということで、とても中身の濃い展覧会のハシゴを無事終えることが出来て大満足なのだが、正直、山歩きよりもかなり疲れたなあ。俺以上に非力な娘も良く頑張って付き合ってくれたので、ご褒美にピエールマルコリーニの高級チョコレートを買ってから帰途につきました。