ロング・トレイル!

2015年作品
監督 ケン・クワピス 出演 ロバート・レッドフォードニック・ノルティ
(あらすじ)
久しぶりに故郷の米国に帰ってきた作家のビル・ブライソン(ロバート・レッドフォード)。執筆活動はセミリタイア状態であり、平穏な日々に物足りなさを感じていた彼は“アパラチアン・トレイル”への挑戦を思い付くが、彼を心配する妻は大反対。彼女を納得させるために同行してくれる仲間を探そうとするが、ようやく見つかったのはかつての悪友スティーヴン・カッツ(ニック・ノルティ)だけだった…


ノンフィクション作家ビル・ブライソンの書いた紀行本を映画化した作品。

Wikipediaによると、“アパラチアン・トレイル”というのはアメリカ合衆国東部をアパラチア山脈に沿って南北に縦貫する長距離自然歩道のことだそうであり、全長は約3500km。これを我が国の尺度に合わせると札幌から那覇までの直線距離の1.5倍以上になり、“踏破するのに約半年間を要するが、成功するのはわずか10%に過ぎない”と言われるのも当然のことと思われる。

しかも、原作者であるビル・ブライソンが実際に歩いてみたときの年齢は不明だが、本作で彼を演じているロバート・レッドフォードの公開時の年齢は79歳であり、妻のキャサリンエマ・トンプソン)が心配するのも無理はない。常識的に考えるなら、数十km程度の縦走を何度か試してみて自分の実力を確認した上で挑戦すべきものだと思う。

まあ、案の定、ビルとスティーヴンの“無謀な挑戦”は道半ばにして挫折してしまうのだが、彼等のコンディション等を考慮すれば大成功といって良い結果であり、特に、ケガやトラブルに巻き込まれて泣く泣く諦めるのでは無く、“家に帰りたくなったから”という理由で挑戦を自発的に中止したのは、正に大人の判断だったと言えるだろう。

しかし、映画として評価した場合、面白かったかと問われれば、素直にYesと答える訳にはいかず、う〜ん、もう少しアパラチアン・トレイルを取り巻く大自然雄大さや過酷さといったものを観客に実感させて欲しかったなあ。紹介されているエピソードにしても人間関係に起因するものが多いのは不満であり、ザックの重みや靴擦れの痛みが伝わってくるようなものを取り上げて欲しかった。

ということで、3500kmは到底無理にしろ、数日間かけて100km程度の距離をのんびり歩くのは俺の夢の一つであり、体が動くうちに何とか実現させたいところ。実を言うと、昨年末、ネットで見掛けた安物テント(=勿論Made in China)を思わず購入してしまったところであり、今年の夏は久しぶりにテン泊縦走にカムバックしたいと思っています。