RENT ライヴ・オン・ブロードウェイ

2008年作品
監督 マイケル・ジョン・ウォーレン 出演 アダム・カンター、ウィル・チェイス
(あらすじ)
1989年、ニューヨークのイーストヴィレッジ。映像作家志望のマーク(アダム・カンター)とロック・ミュージシャンでHIV感染者のロジャー(ウィル・チェイス)は、レコード会社の工場だったおんぼろアパートに暮らすルームメイト。貧しいながらも気楽な生活を送っていた彼等のもとに、クリスマスイブの晩、元同居人で今やそのアパートの大家になったベニーから家賃の催促の電話がかかってくる…


2008年9月、ネダーランダー劇場で行われたブロードウェイでの最終公演を収録した作品。

いよいよ、東京国際フォーラムで行われる「RENT 20周年記念ツアー来日公演」を見に行く日が来週に迫ってきたということで、事前学習のために妻&娘と一緒に鑑賞。クリス・コロンバスが監督した映画版「RENT(2006年)」の大ファンだという娘も、本作を見るのは今回が初めてだったらしい。

さて、俺が映画版のDVDを見たのは今から9年以上前のこと。例によって細かなところは忘れてしまったものの、ゲイでHIV感染者であるエンジェルの死のイメージが強烈すぎて、“ミュージカルらしい雰囲気”を損なっているような印象を受けたことだけは良く覚えており、そのときのブログを読むと“「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ(2001年)」には遠く及ばない”という感想が書かれている。

そんな訳で、個人的には一抹の不安を抱えながらの鑑賞となった訳であるが、意外にも本作に収められた舞台版「RENT」の世界には何の違和感もなくすんなりと入り込むことが出来、後はもうTV画面にクギ付け。途中の休憩時間もそのまま収録されているのだが、その間もTVの前を離れることは出来ず、最後までとても楽しく見終えることが出来た。

正直、映画版の記憶はもはや曖昧なため、これが映画と舞台の演出の違いによるものなのか、それともこの9年間に俺の中で起こった変化に起因するものなのかは不明だが、白状してしまうと、“HIV感染=死に至る病”といった俺の中の偏見(?)が改められたことも少なからず影響しているのではないかと考えている。

ということで、医学がどれほど進歩しようとも、貧困や格差、差別といった現代社会に内在する“死に至る病”が絶えることはない訳であり、そういった意味においても「RENT」という作品の持つテーマが古びることはないのだろう。12月17日に行われる東京国際フォーラムでのステージがますます待ち遠しくなってきました!