ターミナル

2004年作品
監督 スティーヴン・スピルバーグ 出演 トム・ハンクスキャサリン・ゼタ=ジョーンズ
(あらすじ)
東欧の小国クラコウジアからニューヨークのJFK国際空港に到着したビクター・ナボルスキー(トム・ハンクス)は、彼の離陸後に母国で発生したクーデターが原因でアメリカへの入国を拒否されてしまう。帰国することも出来ない彼はとりあえず空港内の乗り継ぎロビーで待機するように指示されるが、法の隙間に落ち込んでしまった彼に救いの手は何処からも差し伸べられず、徒に待機日数が伸びていく…


「BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」からのスピルバーグつながりで鑑賞。

結局、主人公は空港内の乗り継ぎロビーで9ヶ月間も生活することになるのだが、その間に片言だった英会話をほぼマスターし、空港内で働ける仕事も見つけてしまう。さらには、(ちょっぴり年増ではあるものの)美人フライトアテンダントアメリア(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)というガールフレンドまで見つけてしまうのだが、う〜ん、ここまでくるとさすがにちょっと出来過ぎかなあ。

見終わってから調べたところによると、本作の主人公には、パリのシャルル・ド・ゴール空港で18年間も生活したというイラン人のモデルがいるらしいのだが、空港内での生活実態等に関しては本作と無関係のようであり、前記したような主人公のエピソードはすべてフィクションであると思われる。

まあ、たかがコメディ映画であり、別にそういった点を責めるつもりは毛頭ないのだが、問題なのは本作で描かれたエピソードの数々が上手く繋がっていかないところであり、中には良い話もいくつか含まれているものの、それらが次のエピソードの伏線になるような工夫の跡はあまり見当たらない。

主人公がニューヨークを訪れようとした動機の背後には、実は、亡父にまつわるちょっとした泣けるエピソードがあるのだが、それまでに出てきたナポレオンの話もヤギの薬の話もほとんどそれと関わることは無く、ただそれだけで何の発展もないまま終わってしまう。あれでは、せっかく本人役で登場してくれたベニー・ゴルソンも拍子抜けだったのではなかろうか。

ということで、何やら感動作のような味付けがされているのだが、正直、何処に感動すれば良いのかよく分からないというのが困ったところ。まあ、その原因は一にも二にも下手な脚本にある訳であり、さすがのスピルバーグも救いようが無かったということなのでしょう。