飛鳥の都〈シリーズ 日本古代史3〉

吉川真司という歴史学者が書いた岩波新書の“シリーズ 日本古代史”の中の一冊。

購入動機は単純であり、週末からの3連休に予定している2度目の奈良旅行のための事前学習。今回は、室生寺長谷寺といったところをメインに見て回りたいと思っていたのだが、宿泊先を物色していた妻から“明日香村のB&Bでも良いか?”という申し出があり、それがきっかけとなって飛鳥時代の遺跡群が観光ルートに組み込まれることになった。

さて、本書には蘇我氏による飛鳥寺の創建から持統天皇による藤原京遷都までの約100年間の出来事が記されているのだが、それと平行して当時の中国や朝鮮半島の情勢が詳しく紹介されており、倭国のリーダーたちの政策決定に唐や新羅からの“圧力”が大きな影響を及ぼしていたことがよく分かるようになっている。

著者の“あとがき”によると、飛鳥時代というのは学会においても論争の多い時代だそうであり、本書の内容も必ずしも通説だけによったものではないらしいのだが、まあ、俺のような素人が2、3日でこの時代の概略を把握しようとする目的には十分過ぎる内容であり、文章もとても読みやすかった。

ということで、いたって真面目な内容ではあるが、中継ぎ要員の推古天皇が長生きをせず、聖徳太子天皇に即位していたらその後の歴史はどう変わっていたか等、歴史のロマンを感じさせる余地も十分に残されており、今度の週末、甘樫丘の上で妻に付け焼き刃の知識を披露できるのがとても楽しみです。