アーロと少年

今日は、妻&娘と一緒にピクサーの新作「アーロと少年」を見てきた。

ようやく昨日になって帰省してきた娘に“何か映画でも?”と尋ねてみたところ、予想(=タランティーノの「ヘイトフル・エイト」!)に反して本作をご所望。おそらく、血しぶきが飛び交うようなアクション映画を不得意とする母親への思いやりからだと思うが、そんな娘の優しさに感謝しながら映画館へ向かう。

さて、内容は、父親を亡くした子供の草食性恐竜“アーロ”の成長譚を描いたものであるが、通説(?)とは異なり、恐竜絶滅の原因となった隕石衝突が起こらなかったことにしてあるのがミソ。絶滅を免れた恐竜たちは、言葉を話すだけでなく、農耕や家畜の放牧を行うまでに進化しており、あの恐ろしいティラノサウルスも草食性恐竜を襲うようなことはない。

ところが、そのような変化に付いていけないのが翼竜たちであり、相変わらず他の小動物を捕食しなければ生きていくことが出来ない…。まあ、それぞれの恐竜の特徴を生かしたこういった設定はとても面白いと思うのだが、それがアーロの成長譚という本作のテーマを語る上でほとんど何の役にも立っていないところが最大の難点。

また、まだ言葉を持たない人間の少年“スポット”との友情も大きく取り上げられているのだが、何百万年か後にはお互い地上の覇権をかけて争うことになるかもしれない恐竜と人類との緊張関係を予感させるようなものは一切描かれておらず、あれではスポットが人間である必要性は皆無。犬でもネズミでも、全く支障は無かっただろう。

ということで、実写を超えたといっても過言でないほど美しい映像は文句なしに素晴らしいのだが、ピクサー作品としては珍しく(?)ほとんど新鮮味の感じられない陳腐なストーリーにはいささかガッカリ。同時上映された短編映画「ボクのスーパーチーム」を長編化した方がずっと面白かったように思います。