イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密

今日は、娘がご贔屓のベネディクト・カンバーバッチが主演する「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」を家族で見に行ってきた。

“天才数学者”アラン・チューリングの名前は以前から知っていたが、それはあくまでもコンピュータの黎明期において多大なる功績を残した人物としてであり、第二次世界大戦中にドイツの暗号解読のために重要な役割を果たしたことや、同性愛者として不遇な末路をたどったという事実は全くの初耳。

本作は、そんな興味深いストーリーをチューリングの少年時代、第二次世界大戦当時、そして映画の中の“現在”である1951年当時という3つの時代に分けて描いていくのだが、中心になるのは暗号解読チームのリーダーとして活躍する第二次世界大戦当時であり、常人とは思えない驚異的な集中力を発揮して最強の暗号機であったエニグマの解読に見事成功する。

そんなサクセス・ストーリーの“光”に対し、当時は犯罪であった同性愛という“闇”を絶妙な匙加減でブレンドした本作の脚本は秀逸であり、アカデミー賞での脚色賞受賞は決してダテではない。また、そんな複雑なキャラクターを素晴らしい演技でリアルに表現したカンバーバッチにとっても、ようやく映画での代表作と呼べる作品に巡り会えたと言って良いだろう。

ということで、せっかくエニグマを解読したにもかかわらず、敵がその事実に気付くことを防ぐため、(味方の犠牲を甘受してでも)かなりの確率で相手の作戦を知らないフリをしなければならないというのが何とも皮肉。犠牲者のご遺族の心情を考慮すれば、チューリングの生前に彼等の功績を公に出来なかったというのも仕方ないことなのでしょう。