アデル、ブルーは熱い色

2013年作品
監督 アブデラティフ・ケシシュ 出演 アデル・エグザルコプロス、レア・セドゥ
(あらすじ)
高校2年生のアデル(アデル・エグザルコプロス)は、イケメンの上級生トマから交際を申し込まれるが、彼との初デートに向かう途中、街中で髪をブルーに染めたレズビアンらしきカップルを見掛けて衝撃を受ける。結局、すぐにトマと別れてしまったアデルは、ある夜、偶然に入ったバーでブルーの髪の女性と再会。エマ(レア・セドゥ)と名乗ったその女性は、アデルより年上の美大生だった….


2013年のカンヌ国際映画祭でみごとパルムドールに輝いた作品。

レズビアンの話であり、正直、俺のようなオヤジが鑑賞して良いものやら少々迷ったのだが、まあ、見終わった後の感想は五分五分といったところ。3時間近い上映時間にもかかわらず、見ていて退屈するようなことは一度も無かった。

ストーリーは単純というか、事件らしい事件はほとんど起きることは無く、アデルとエマの出会い→交際→同棲→別離→その後が淡々と綴られていくだけ。クローズアップを多用した映像は美しいのだが、回想シーンやBGMといった映画的な演出はほとんど採用されておらず、まるでドキュメンタリイ映像を見ているような錯覚に陥ってしまう。

それに拍車をかけているのは、ヒロインのアデルを演じたアデル・エグザルコプロスのとても自然な演技。原作のコミックではヒロインの名前は“クレモンティーヌ”だったらしいのだが、それをあえて彼女を演じる女優と同じ“アデル”に変更したことからも分かるように、観客にはアデル・エグザルコプロスが彼女自身を演じているようにしか見えない。

口を半開きにした化粧っ気のない寝顔や涙と鼻水で顔中がベトベトになった表情なんかが度々画面上に大写しされるのだが、それらがとても美しく見えるのは公開当時20歳になったばかりという彼女の若さの賜物だろう。全体としてポッチャリした印象で、見た目は実年齢より幼く見えるため、チャイルドポルノを見ているような罪悪感に囚われてしまうのが最大の問題かなあ。

ということで、ホモに関しては我が国でも(道化というペナルティは課せられているものの)そこそこ認知度が上昇してきているのに対し、レズビアンに関してはいまだに社会から目を背けられたまんまというのは、やはり男社会の反映なんだろう。こういった分野では先進国だと思っていたフランスでも、実際はなかなか複雑な事情があるようです。