おかえりなさい、伊藤若冲《菜蟲譜》修理完了披露展

今日は、佐野市立吉澤記念美術館で開催される「おかえりなさい、伊藤若冲菜蟲譜》修理完了披露展」を妻と一緒に見に行ってきた。

若冲の主要な作品のうち、県内で見ることが出来るのはおそらくこの菜蟲譜だけということで、修復が終わって再公開されるのを首を長くして待っていたのだが、ようやくその日が到来。混雑が予想される公開初日は避けようかとも思ったが、小雨交じりのあいにくの天気では山歩きに行くことも出来ず、まあ、ある程度の行列は覚悟していざ出発。

開館は午前9時30分ということで、9時ちょっと過ぎに現地に着くが、予想に反して美術館の周辺はひっそりと静まりかえったままであり、さして広いとも思えない駐車場もガラガラ。しばらく車内で待機してから入口に向かうが、やはり他に入場者の姿は見られず、結局、一般客としては我々が最初の入場者になってしまった。

さて、この美術館を訪れるのは今回が初めてであるが、展示スペースは3ヵ所だけであり、思ったよりもこじんまりとした感じ。展示品は、円山応挙をはじめとする江戸絵画が主力のようであるが、扇絵が多いので少々迫力には欠けるかなあ。板谷波山という人の陶器等が展示されている第2室を見終えると、いよいよ待ちに待った菜蟲譜とのご対面。

晩年の作品ということで、壮年期の作品のような“けれんみ”は見られないが、淡い色彩を使ってちょっぴりデフォルメして描いた野菜たちの姿にはそこはかとないユーモアが漂っており、とても良い感じ。大小様々な野菜の配置からはまるで上質の音楽を聴いているようなリズム感を味わうことも出来るなど、見ていてとても楽しい作品であり、静かな雰囲気の中でゆっくり鑑賞できたのはとても幸運なことだった。

ということで、長さ11mに及ぶ大作のため、今回展示されていたのは蟲パートが始まる寸前の蝶々のところまで。後半は今月22日からの展示になるらしいので、また、そのときに見に来ようと思いました。(ちなみに、現在でも複製画で後半部分を見ることが出来るよう配慮されている。)