今日は、妻と娘と一緒に東京で開催中の二つの展覧会を見てきた。
そもそものきっかけは、東京芸術劇場で開催されている“生誕80周年記念 横山光輝展”だったのだが、観覧料無料ということから推測しても相当小規模な企画らしく、正直、これを見るためだけに上京するのはちょっと気が引ける。そこで、他に何かめぼしい催し物はないものかと考えていたときに目に付いたのが菱田春草展であり、かねてから実物を見てみたいと思っていた「落ち葉」も出展されているとのこと。
妻からは同行の快諾を得たものの、内容が少々年寄り向け(?)ということで娘が興味を示してくれるかちょっぴり心配だったのだが、LINEでお伺いを立ててみたところあっさりOKを出して頂き、菱田春草展の開催されている東京国立近代美術館の前で待ち合わせをすることになった。
さて、待ち合わせの時刻より早く着いてしまったため、お隣の国立公文書館の“平成26年度企画展第3回 ようこそ歴史資料の宝庫へ”を冷やかしていると、定刻から数分遅れで娘からの到着の電話が入り、三人そろって菱田春草展へ。観客の入りはまずまずといったところであり、これならゆっくりと各作品を見て回れそう。
あまり日本画を見る機会は多くないのだが、展示されているのはどれもこれも綺麗な作品ばかりであり、見ているだけでとても楽しい気分になってくる。また、“朦朧体”と呼ばれる手法を採用した作品群に、イギリスの画家ターナーの作品に通じるような雰囲気が漂っているのもなかなか興味深い。
お目当ての「落ち葉」の素晴らしさは予想した以上であり、写実的に描かれた前景とアッという間に消え失せてしまう幻想的な後景との大胆な組合せは絶品としか言いようがない。他にも秋の紅葉を思わせるような色合いの作品が多く展示されており、この時期に鑑賞するのには正にピッタリな展覧会であった。
その後、池袋まで移動し、ルミネのレストランで空腹を満たしてから東京芸術劇場へ向かう。劇場周辺では何やらイベントが催されているらしく、沢山の人々でごった返していたが、横山光輝展の開催されている5Fギャラリーの方の盛り上がりはいま一つといったところであり、まあ、予想していたこととはいえちょっぴり寂しいなあ。
「鉄人28号」や「伊賀の影丸」は、俺が子供の頃に夢中になって見ていた作品であり、胸に甦ってくる熱い想いを娘に語りながら展示品を見て回った後は、ちょうどモニターで上映中だった鉄人28号の第1回TV放映分を鑑賞。クリアファイルと図録を自分用のお土産に購入したところ、横山作品のキャラが描かれた素敵なビニール袋に入れてくれたのがとても嬉しかった。
ということで、デパ地下で今日の晩ご飯を購入してから新宿駅で娘と別れ、無事帰宅。とても楽しい一日だったのだが、唯一の心残りは菱田春草のもう一つの代表作である「黒き猫」を見られなかったことであり、入場者を増やすための工夫とはいえ、「落ち葉」と「黒き猫」を同時に展示しないというやり口は、正直、地方在住者には負担が大きいです。