2013年作品
監督 黒沢清 出演 佐藤健、綾瀬はるか
(あらすじ)
仕事に行き詰まって自殺を図った漫画家の和淳美(綾瀬はるか)が昏睡状態に陥ってから一年。恋人の藤田浩市(佐藤健)は、彼女を覚醒させるために“センシング”という装置を使って彼女の意識との接触を試みる。実験は見事に成功し、淳美の意識の中の世界で彼女に再会した浩市は、そこでも漫画を書き続けている彼女から“子どもの頃に描いた首長竜の絵を探し出して欲しい”と懇願される….
奇妙なタイトルが公開当時からちょっと気になっていた作品。
最近、「ブレイキング・バッド」というアメリカのTVドラマのDVDを週3枚のペースで見続けているのだが、近所のTSUTAYAでやっている“5枚まとめてレンタルすれば1,000円”というサービスを利用するためにはDVDをあと2枚レンタルしなければならない。そこで、妻の希望を考慮しながら毎週そのための作品を選んでいる訳であり、最近、邦画を鑑賞する機会が増えているのにはそんな理由がある。
さて、黒沢清という監督さんはなかなか国内外での評価が高い人らしいのだが、得意ジャンルが俺の苦手とするホラー系のため、作品を拝見する機会がほとんど無い。唯一見たことのある「トウキョウソナタ(2008年)」も、正直、俺の趣味ではなかったということで少々残念に思っていたのだが、綾瀬はるかの魅力をお借りすれば苦手を克服できるのではないかと思い、再チャレンジしてみた。
しかし、結果的には「トウキョウソナタ」を見た後の感想とほとんど一緒であり、彼が何をしたいのか相変わらず俺には良く分からない。近未来SFとしては完全にアイデア不足だし、何度かグロテスクなシーンが登場するものの、ホラー物というほど怖くない。原作はミステリイらしいのだが、本作を見て謎解きの知的興奮を覚える人はおそらく皆無だろう。
クライマックスシーンには、幼い頃、海で溺れている友人を見殺しにした(?)という浩市の“罪悪感”の化身として巨大な首長竜が登場するのだが、動かし方が下手な上に何の工夫も見られないため見ていて全然面白くない。また、海から上がってきたばかりだというのに、首長竜の歩いた跡が全く濡れていないというのは完全な手抜きだろう。
ということで、途中から淳美と浩市の立場が入れ替わるという大ドンデン返しがあるのだが、最初から“何でもアリ”みたいな雰囲気が濃厚なため、見ていて何の驚きも感じない。それによって綾瀬はるかの出番が増えるのは嬉しいのだが、それならば最初からそうしておけば良かったのにと思ってしまいました。