ショーン・オブ・ザ・デッド

2004年作品
監督 エドガー・ライト 出演 サイモン・ペッグ、ケイト・アシュフィールド
(あらすじ)
二人の男友達と一緒にロンドンの借家に住んでいるショーン(サイモン・ペッグ)は、なかなか大人になりきれないダメ男。彼の日常の大半は、行きつけのパブで同居人エドと他愛の無いバカ話に興じることに費やされており、長年付き合ってきた恋人のリズ(ケイト・アシュフィールド)からもとうとう愛想を尽かされてしまうが、そんな彼の周囲である異常な出来事が進行していた…


エドガー・ライト出世作となったゾンビ映画のパロディ作品。

本来、ホラー映画は大の苦手なため、俺がこれまでに拝見したゾンビ映画は本家本元であるジョージ・A.ロメロの「ゾンビ(1978年)」くらいのもの。しかし、本作はコメディ仕立てらしく、それならばそう怖くはないだろうということで、帰省中の娘と一緒に鑑賞に臨んだ次第。

さて、先日、彼女が行ってきたばかりの“憧れの大都会”ロンドンも、エドガー・ライトの手にかかると一気に貧乏臭くなってしまい、そこに暮らす人々の生気を欠いた表情はゾンビのそれとそう大きな違いはない。本作において、全く必然性の無いゾンビの出現が意外にすんなりと受け入れられてしまうのも、そんなロンドンの薄汚れた雰囲気が大きく寄与しているのだろう。

しかし、そんな日常的な雰囲気に晒されるゾンビの群は、本家の有していた不気味さとは全く無縁の存在であり、登場するのが動きののろい旧型ばかりということもあって、観客に対してほとんど恐怖心を抱かせない。このへんのギャップに目を付けてパロディ化を思い立ったエドガー・ライトの判断は、確かに間違ってはいなかった。

出てくるギャグも脱力系のものが大半を占めており、正直、くだらなさ過ぎて笑うに笑えないものも少なくないのだが、あれだけの経験をしながらも人間的に全く成長していない主人公のダメさ加減を肯定的に受け入れてくれるラストがとても素晴らしく、イギリス社会の懐の深さ(?)を垣間見せてくれた。

ということで、一緒に見ていた娘の話によると、本作を見るのはこれが二度目とのことであり、ゾンビが人間の内蔵を食い荒らすシーンも平気な顔で見ていた。どうやら、ホラー系は苦手でも、グロい方にはそれなりの耐性はあるというのは我が家の血筋なのかもしれません。