思い出のマーニー

今日は、妻と一緒にスタジオジブリの最新作である「思い出のマーニー」を見に行ってきた。

朝一での鑑賞なら予約しなくても大丈夫だろうということで、午前8時30分からの上映開始時刻に間に合うように映画館に到着するが、入口の前には既に長〜い行列が出来ているのを見て吃驚仰天。ジブリの底力を過小評価していたことを後悔しそうになるが、間もなく、その行列が“妖怪ウォッチ”なる作品の前売り券を購入するためのものであることが判明し、我々はすんなり入場することが出来た。

さて、米林宏昌監督の前作である「借りぐらしのアリエッティ(2010年)」ではアクションシーンにおける“躍動感の無さ”にいたく失望した覚えがあり、本作においてそれがどの程度改善されているのかを注意深く見ていたのだが、これがまるっきりの空振り。何と、本作には一度もアクションシーンが登場しなかった!

まあ、これはすなわち米林監督は宮崎駿の後継者ではないというだけのことであり、それはそれで仕方がないのだが、それではそれに代わる新たなジブリカラーを本作で打ち出しているかというと大いに疑問。今回は“ジブリだから”という理由だけで映画館に駆けつけた訳であるが、おそらくそんな行動パターンは本作が最後になるだろう。

ということで、一見、自然で素直な印象を与える作品ではあるが、良く考えてみると、主人公がマーニーと出会った理由が全く説明されておらず、あれが全て主人公の妄想だとすれば彼女には何らかの精神的ケアが必要だろう。また、主人公の日常行動に対する大岩夫妻の無関心さも異常なレベルであり、こういった不合理さを解消するためにも、現実がファンタジーに入れ替わる“魔法の瞬間”を描く必要があったものと思います。