舟石峠から塔の峰&オロ山

今日は、塔の峰やオロ山といった足尾の山々を周回で歩いてきた。

足尾の中倉山までは去年の11月に妻と一緒に歩いており、その先をどうやって歩こうか考えていたところ、オロ山の先を南下して仁田元川の対岸にある塔の峰へ周回できるという先人の記録を発見。ただし、未知の世界である塔の峰〜舟石峠間を山行の最後に歩くのは不安なので、先人とは逆に、舟石峠を起点にして時計回りに周回する計画を立てておいた。

しかし、那須方面で妻と遊んでいる間に気温は着実に上昇を続け、実行予定日の気温は30℃を超えそうな勢い。沢入山〜中倉山前後における遮蔽物の無い稜線歩きは覚悟の上だが、銅親水公園〜舟石峠間の舗装道路を炎天下に歩くことだけは避けたいということで、急遽、駐車地を舟石峠駐車場から銅親水公園手前の無料駐車場に変更し、午前4時過ぎに到着。

予定より10分ほど遅い4時11分に無料駐車場を出発すると、最初は舟石峠まで約5kmの舗装道路歩き。日の出前ということもあり、渡良瀬川の支流である出川沿いに歩いていたときは結構涼しかったのだが、川から離れると一気に体感温度が上昇し、これから先が思いやられる。

舟石峠駐車場(5時7分)を過ぎて、予定通りのほぼ1時間で鳥獣観察舎(5時12分)に到着。しかし、ここで山靴に履き替えたり、虫除けスプレーを全身に塗りたくっているうちに時間をロスしてしまい、再出発(5時25分)したときには予定より25分遅れになっていた。

さて、まずは鳥獣観察舎の北側から取り付いて“舟石新道”なる廃道を探すのだが、これがそう簡単には見つからない。しばらくしてGPSを確認すると、どうやら何処かで舟石新道を通り越してしまったようであり、高度を少し下げながら西に向かって進んでいくと、木の幹にブリキの目印(5時39分)が打ち付けられているのを発見。その下に続く枯れ葉の堆積した狭いトラバース道が舟石新道らしい。

新道は、一部崩落しているところもあるものの、ほとんどアップダウンが無いため歩きやすく、乗越峠(5時54分)を乗り越えて6時1分に熊ノ平と呼ばれるだだっ広い鞍部に着く。次の尾根形が見えてくるあたりで新道は左手へカーブしていくが、今回はここ(6時5分)を直進してそのまま尾根筋を上っていく。

ここからの長い上りはなかなか先が見えない感じで精神的にも疲れるが、高度が上がるに連れて周囲が開放的な雰囲気へと変化していき、シロヤシオアカヤシオの花も目立つようになる。1528ピーク(6時55分)を過ぎ、7時23分に着いた塔の峰(1738m)もとても気持ちの良い場所であり、虫除けスプレーを塗り直すためにしばし休憩を取る。

暑さに耐えられないようならここでの撤退も考えていたのだが、幸いこれまでのところ心身に異常は認められない。鳥獣観察舎から3時間の予定を2時間で歩いてこられたために時間的な余裕も出来、気分も上々ということで、周囲の美しい風景をゆっくり楽しんだ後、再出発。

実は、この時点では庚申山経由でオロ山に向かうつもりでいたので、1662ピーク(7時48分)のある尾根をまっすぐ西へ進んでいく。地形図で見ると穏やかそうな尾根だが、実際は岩場やシャクナゲに邪魔されて結構歩きにくい。1750級ピーク(8時10分)の先の鞍部まで来ると、踏み跡は1745地点に向かって北上していくが、庚申山に行くにはそれだと遠回りになってしまうためそのまま直進。

ところがこれが大失敗であり、胸にまで達する濃い笹藪と容易には乗り越えられない巨大な倒木の前に悪戦苦闘。踏み跡を探そうにも、こんなところを上ろうとする鹿さんは皆無らしく、ようやくオロ山〜庚申山の尾根上(8時34分)に出たときには、庚申山までピストンする気持ちはほとんど失せていた。

さて、尾根に出た地点から少し下ったところに見晴らしの良い場所があったので、そこに腰を下ろし、皇海山を眺めながら今後の計画を再検討。水(=いつもより多目に4リットル持参)と時間には十分余裕があるが、懸案である沢入山〜中倉山前後の炎天下の稜線歩きを考えれば少しでも体力を温存しておくことが望ましく、ここで庚申山行きを正式に断念する。

ここからオロ山までの笹藪も、踏み跡を見つけたり、見失ったりの繰り返しでなかなか大変。最後の山頂付近では、密生した樹木とシャクナゲの藪の間をすり抜けるようにして、9時23分に山頂(1821.7m)到着。真新しい山名板もあったが、少々風情に欠けるため、石の下敷きになっていた古い山名板を枯れ枝に引っ掛け、白根山をバックにして証拠写真を撮った。

次の沢入山へ向かうと、ようやく笹藪地獄から脱出できるものの、今度は恐れていた炎天下での稜線歩きが始まる。上空には雲一つない青空が広がっている上、何故かアカヤシオが満開ということで、いつもなら最高のコンディションなのだろうが、真夏のような今日の日差しはかなり強烈。沢入山の山頂(1704m。10時8分)では、熱中症にならないよう、木陰に入って十分休養を取った。

さらに進むと岩場が出てくるが、これを慎重にクリアした先に立っているのが一部で有名な孤高のブナ(10時46分)。この稜線上に存在する樹木はこれ一本という訳ではないのだが、まあ、確かに絵になる姿ではあるなあ、と考えているうちに二度目となる中倉山(1539m。10時51分)に着く。

前回はここから下山するときに迷走してしまったが、今回は踏み跡を忠実にたどり、前山(=表示は撤去されていた。11時5分)〜ケルン(11時11分)と歩いて11時38分に林道まで下りてくる。前山の表示だけでなく、途中の赤テープ等の数も前回に比べて随分少なくなっており、枯れ葉で踏み跡が見えなくなる時期には迷う人が出てくるかもしれないなあ。

さて、林道に出たところで山靴を履き替えていると、ハイドレーションパックに入れておいた2リットルのスポーツ飲料がちょうど空っぽになる。その後は林道をテクテク歩き、銅親水公園駐車場(12時21分)を過ぎて、12時30分に車を止めておいた無料駐車場に戻って来る。今日の総歩行距離は21.4km、水消費量は2.5リットルだった。

ということで、炎天下のロングウォークは少々無謀かとも思ったが、何とか無事に歩き通すことが出来、ひとまずホッとした。庚申山に行けなかったのはちょっと残念だったが、いつかもっと涼しい時期にでも別の形でリトライしてみたいと思います。