ウエスト・サイド物語

1961年作品
監督 ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンス 出演 ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー
(あらすじ)
ニューヨークのウエスト・サイドを拠点とする不良少年たちのグループ“ジェット団”は、近頃、勢力を伸ばしつつあるプエルトリコアメリカ人たちのグループ“シャーク団”の存在を疎ましく思っていた。そんなとき、ジェット団の元リーダーであるトニー(リチャード・ベイマー)は、シャーク団のリーダーであるベルナルドの妹マリア(ナタリー・ウッド)に出会い、二人は恋に落ちる….


ちょうど娘も帰省中ということで、我が家での名作鑑賞会の第5弾を開催。

ミュージカル映画の新時代を切り拓いたといわれる歴史的名作であり、まあ、“勉強”の意味も込めてミュージカル初心者の妻と娘に見てもらいたかった訳であるが、正直、個人的にはあまり得意な作品とはいえず、おそらく鑑賞するのもこれが3、4回目くらい。

その最大の理由はストーリー部分の弱さであり、特にジェット団とシャーク団との決闘により、リフ(ラス・タンブリン)とベルナルド(ジョージ・チャキリス)という2人の魅力的なキャラクターを失ってからが圧倒的につまらない。アイスとチノの2人では彼等の穴を埋めるのには全くの力不足であり、その影響を最小限に食い止めるためにも、決闘の時期をもっと遅らせる等の配慮が必要だったと思う。

なお、この気持ちは今回見直したときも基本的に変わらなかったのだが、これまで気付かなかった点が2つあったので、一応書いておく。一つは、男の子の格好をしたエニィバディスは単なる道化では無く、明らかに性同一性障害者として描かれていること。人種差別の問題に比べれば控え目な扱いではあるが、改めて本作の持つ先進性に感心させられた。

2つ目は、アニタに対するジェット団の暴行が“既遂”であったこと。表現が抽象的なため、これまで未遂に終わったものとばかり思っていたのだが、ベビー・ジョンを担ぎ上げてアニタに向かって突進していくシーンは、かなり露骨に既遂の事実を表していると判断して良いのだろう。

ということで、ストーリーは感心しないものの、音楽や美術、ダンスの素晴らしさには非の打ちようがなく、このような作品が50年以上前に作られていたのはまさに驚異的。機会があれば、一度、生の舞台も見てみたいと思います。