フランケンウィニー

2012年作品
監督 ティム・バートン
(あらすじ)
屋根裏で科学の実験や映画作りに熱中するヴィクター少年の友達は愛犬のスパーキーだけ。そんな息子を心配した父親の忠告に従い、ヴィクターは草野球の試合に出場することになるが、その最中にスパーキーは交通事故に遭って命を落としてしまう。愛犬の死を諦めきれないヴィクターは、学校の科学の実験をヒントにスパーキーを生き返らせる方法を思いつき、雷の晩、一人でそれを実行に移す….


ティム・バートン監督によるストップモーション・アニメを妻と一緒に鑑賞。

題名からも明らかなとおり、本作はメアリー・シェリーの「フランケンシュタイン」のパロディ(=最近では“オマージュ”というのかな?)なのだが、本作で復活するのは犬のスパーキーだけに限らない。

ヴィクターの成功を聞きつけた彼の同級生の悪ガキたちは、死んだ魚やネズミ、蝙蝠、亀等を使って次々と実験を成功させていくのだが、ヴィクターの通う学校の科学教師ジクルスキ先生の説によると、実験の結果にはそれを行った人間の感情が強く影響するものらしく、復活したのはいずれもモンスターばかり。

しかも、そのそれぞれが透明人間、狼男、吸血鬼、ミイラ男、半魚人といったハリウッド映画が生み出した往年のモンスター達のパロディになっているのが面白く、最後には日本の誇る大怪獣ガメラまでが登場。こんな具合に、製作者側が映画を楽しんで作っている感覚が伝わってくると、何かこっちまでウキウキした気分にされてしまう。

また、個人的にはジクルスキ先生のキャラクター設定がとても興味深く、異国のマッドサイエンティストを思わせる異様な風貌にもかかわらず、地方都市の住民たちの科学に対する無理解、無関心を憂い、ヴィクターに対しては科学における“愛”の重要さを説く姿は科学者の鑑。こういうキャラを外国人に設定することが出来るのは、いろんな意味で凄いことだと思う。

ということで、体の悪いエドガー少年が復活させたのが透明な魚というのは、自分の外見にコンプレックスを持っている彼の感情の現われなんだろうが、こんなちょっと哀しいギャグもいかにもティム・バートンらしい。ツギハギだらけのブス犬であるスパーキーもとても可愛らしかったです。