2011年作品
監督 ラッセ・ハルストレム 出演 ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント
(あらすじ)
イエメンの大富豪から“砂漠で鮭釣りをしたい”という依頼を受けたロンドンの投資コンサルタント会社に務めるハリエット(エミリー・ブラント)は、早速、漁業農業省の水産学者アルフレッド(ユアン・マクレガー)に話を持ちかけるが、真面目な彼は全く相手にしようとしない。しかし、悪化の傾向にあるアラブ諸国との関係を憂慮する英国政府は、関係改善の一助としてこのプロジェクトに目を付ける….
ラッセ・ハルストレムの監督による英国製ロマンチック・コメディ。
首相広報担当官のマクスウェルによる様々な圧力の結果、アルフレッドは嫌々ながらプロジェクトに参加することになるのだが、言い出しっぺであるイエメンの大富豪シャイフ・ムハンマドに直接面会した彼は、シャイフの誠実な人柄に一目惚れ。その真の目的が砂漠の灌漑にあることを知り、プロジェクトの実現に真剣に取り組むことになる。
そして、ようやくここから“途方もない夢のような計画”が実行に移されることになるのだが、アルフレッドが現地を訪れてみるとダムや水路は既に完成しており、気象的な条件もクリアしているということで、彼が直接手を下さなくてはならないような問題はほとんど残されていない。
最大の課題であった“鮭の調達方法”に関しても、解決のためのアイデアを出したのは素人のマクスウェルであり、アルフレッドは(大した確証もないまま)そのアイデアを了承しただけ。じゃあ、その代わりに何が描かれているのかというと、ハリエットを頂点とするアルフレッドとロバート(=ハリエットの恋人である陸軍大尉で、戦闘中に行方不明になってしまう。)の三角関係。
まあ、個人的な好みからいえば深刻な三角関係にはあまり興味はなく、“プロジェクトの実施に伴う様々なトラブルを主人公たちがどんな努力や機転で克服していくのか”みたいな部分をもっと見せて欲しかったと思うのだが、そこは手堅いラッセ・ハルストレムということで、美しい映像と結構笑える小ネタを駆使することにより、全体としてはなかなか楽しい作品に仕上げられている。
ということで、出演者も皆さん素晴らしいのだが、中でも“憎めない悪役”のマクスウェル広報担当官を巧みに演じていたクリスティン・スコット・トーマスがいい味を出しており、やはり砂漠を舞台にした「イングリッシュ・ペイシェント(1996年)」で悲恋の人妻を演じていた美人女優と同じ人とは思えない見事なコメディエンヌぶりでした。