殺し屋たちの挽歌

1984年作品
監督 スティーヴン・フリアーズ 出演 ジョン・ハートテレンス・スタンプ
(あらすじ)
強盗団の一員であるウィリー(テレンス・スタンプ)は、法廷で仲間に不利な証言をすることを条件に入獄を免れ、その後、スペインで10年に及ぶ隠遁生活を送っていた。ある日、見知らぬ若者たちに拉致されたウィリーは、かつて彼が裏切った組織のボスに雇われた二人組の殺し屋ブラドック(ジョン・ハート)とマイロンに引き渡され、車でボスの待つパリまで連行されることになる….


クライテリオン・コレクション・トップ10という企画で、クリストファー・ノーランが第一位に選んだ作品。

その後、人質ということでスペイン娘のマギーが加わり、この4人でフランスとの国境を目指して延々と車を走らせることになる。ベテランのブラドックは、何の躊躇いもなしに人を撃ち殺すプロの殺し屋であるが、どうやら勝気なマギーに一目惚れしてしまったらしく、用済みになった後もなかなか彼女を“処分”することが出来ない。

一方のマイロン(ティム・ロス)はまだ試用期間中ということで、その言動は甚だ危なっかしく、そんな二人の様子を見ていたウィリーは、マギーの存在を利用して彼等の仲間割れを誘うという作戦を思い付く。二人を油断させるため、死すべき運命を受け入れたフリをするウィリーに対し、殺し屋たちが次第に尊敬の念を抱き始めてしまうという展開がなかなか面白い。

まあ、表面上は、あくまでもスペインの荒野を舞台にしたクライムストーリーであり、人が沢山殺されるということもあって、正直、俺の得意分野ではないのだが、前述したような“可笑しみ”が程好い隠し味になっているあたりは、ちょっと、昔のマカロニ・ウェスタンなんかを髣髴させるところもあり、結局、最後まで楽しく見終えることが出来た。

原題は、「The Hit」という、作品の内容にマッチした極めてシンプルなものであり、これに何かのパクリみたいな邦題を付けた配給会社のセンスを疑ってしまうところであるが、調べてみると、どうやら本作は本邦未公開だったらしく、どんな形であれ、とにかく発売してくれたことに対して感謝しなければならないようである。

ということで、クライテリオン・コレクション・トップ10というのは、アメリカのDVD会社がいろんな映画関係者等に自身のトップ10を選んでもらい、それを公表するという企画。ちなみに、ギレルモ・デル・トロが選んだリストでは、黒澤明の「蜘蛛巣城(1957年)」、「天国と地獄(1963年)」、「乱(1985年)」の3作品が同率第一位で並んでいました。