デーヴ

1993年作品
監督 アイヴァン・ライトマン 出演 ケヴィン・クラインシガーニー・ウィーヴァー
(あらすじ)
ボルティモアで小さな職業斡旋所を経営するデーヴ・コーヴィック(ケヴィン・クライン)の特技は、ミッチェル大統領の物真似。そのそっくりさんぶりがシークレット・サービスの目に留まり、大統領が浮気をする間の替え玉に採用されるが、何と大統領が情事の最中に脳卒中を起こしてしまい、陰謀を企む大統領特別補佐官ボブの差し金によりそのまま大統領になりすますことに….


ケヴィン・クラインアメリカ大統領とそのそっくりさんの二役を演じるコメディ映画。

このような場合、本来なら副大統領が職務代理を務めることになるのだろうが、大統領特別補佐官のボブと副大統領のゲイリーとは犬猿の仲らしく、ボブは、スキャンダルをでっち上げてゲイリーを失脚させ、大統領になりすましたデーヴに自分を副大統領として指名させる、という計略を思いつく。

まあ、コメディ映画ということで、当然、そんな悪巧みが上手く行く筈はなく、大統領としての使命に目覚めたデーヴはボブを解任し、全ての国民に仕事を提供するという完全雇用政策を打ち出す。“こんなに風呂敷を広げてしまって大丈夫?”という観客の心配をよそに、ラストもスマートにまとめられており、なかなか素敵な佳品に仕上げられている。

浮気相手の秘書はともかく、大統領夫人のエレン(シガーニー・ウィーヴァー)までもが、一目でデーヴをニセモノと見破れないという設定は、少々非現実的過ぎるような気もするが、そんな作品に現実感を持たせるべく、実在する政治家やマスコミ関係者等を大勢本人役で起用しており、その内の何人かは俺でも知っているような方々だった。

主役のケヴィン・クラインは、これまであまり意識したことのない俳優さんであるが、そういえばロバート・アルトマンの「今宵、フィッツジェラルド劇場で(2006年)」で保安係を演じていた人であり、本作でも好感が持てる落ち着いた演技を披露している。相手役のシガーニー・ウィーヴァーのファーストレディぶりも決して悪くない。

ということで、監督は、「ゴーストバスターズ1984年)」のアイヴァン・ライトマンという人であるが、こんなスマートな作品も撮れるというのにはちょっと感心。機会があれば、次はロバート・レッドフォード主演の「夜霧のマンハッタン(1986年)」を見てみようと思います。