バンデットQ

1981年作品
監督 テリー・ギリアム 出演 クレイグ・ワーノック、ショーン・コネリー
(あらすじ)
イギリスに住む11歳の少年ケヴィン(クレイグ・ワーノック)は、ある夜、自分の子ども部屋のクローゼットから馬に乗った騎士が飛び出してくるのを目撃する。両親に話してもまともに取り合ってもらえず、翌晩、証拠写真を撮るためにインスタントカメラと懐中電灯を持って待ち構えていると、今度はクローゼットから6人の小人が出現。自分たちは時空を股に掛ける強盗団だと名乗る….


テリー・ギリアムの2本目の単独監督作品であり、監督としての出世作

この6人の小人たちは、時空間を自由に移動することができるタイムホールの地図を創造主から盗み出し、それを使って様々な世界を冒険して回っているという設定。ひょんなことから彼らに同行することになったケヴィンも、ナポレオンやロビン・フッドアガメムノンといった英雄たちの活躍する世界を旅することになる。

11歳の少年が主人公のファンタジーということで、子供向けの作品のように見られかねないのだが、本作に登場する6人の小人は「白雪姫(1937年)」に出てくる7人の小人とは大違いであり、両親の爆死という衝撃的なラストを含め、ちょっぴりグロテスクでナンセンスな世界観はまさにモンティ・パイソンそのもの。

DVDの特典映像に入っていたテリー・ギリアムへのインタビューによると、本作はもっぱら「未来世紀ブラジル(1985年)」を撮るための資金を得ることを目的として制作されたものらしく、子どもから大人まで幅広く楽しむことが出来るという本作のコンセプトもその辺りに由来しているのだろう。

ストーリー的には、この6人の小人が実は創造主に仕える下働き(=この世界は、創造主が6日間という極めて短時間で作り上げてしまった未完成の世界であり、その尻拭いを彼等がさせられている。)であるという興味深いキャラ設定が全く活かされていないのが大変残念であり、ギリアム監督には是非このネタでもう一本新作を撮ってもらいたいと思う。

ということで、ショーン・コネリーアガメムノンと消防士の二役で出演しており、ケヴィンの精神的な父親のような役回りを演じている。まあ、ギリシア神話に登場するアガメムノンは全く家庭的な人物ではないのだが、トロイア戦争に出征するために娘を神の生贄に捧げたという彼の行動は、どこか本作のラストに共通するところがあるような気がします。