ソーシャル・ネットワーク

2010年作品
監督 デヴィッド・フィンチャー 出演 ジェシー・アイゼンバーグアンドリュー・ガーフィールド
(あらすじ)
ハーバード大学の学生であるマーク・ザッカーバーグジェシー・アイゼンバーグ)は、恋人にフラれた腹いせに、学内のデータベースから無断で入手した女学生たちの顔写真を使った人気投票サイトを一晩で立ち上げ、大学から保護観察処分を喰ってしまう。しかし、エリート学生のウィンクルボス兄弟は、そんな彼の技術力に目を付け、学内交流を目的としたサイトの制作協力を依頼するのだが….


マーク・ザッカーバーグが人気SNSサイト「Facebook」で成功を収める経緯等を描いた作品。

まあ、実在する主人公が公開当時まだ26歳の若さであり、その社会的評価自体も定まっていないということで、普通に考えたらこの時点での映画化は相当難しい筈なのだが、そこは才人のデヴィッド・フィンチャー、エピソードをFacebookに直接関連するものに絞込み、巧みな脚色とスピーディーな演出でとても面白い作品に仕立て上げている。

本作のマーク・ザッカーバーグは、頭とプログラミングの腕だけはズバ抜けて良いらしいものの、それ以外はこれといった取り柄のない若者として描かれており、他人とのコミュニケーション能力、特に他人を思いやる気持ちなんかは平均以下。したがって、人間的な魅力はあまり感じられないのだが、彼に敵対するウィンクルボス兄弟が絵に描いたようなエリートということで、大多数の観客はどうしても主人公の方を応援せざるを得ない。

また、大した結末を用意できないことも十分計算に入っており、最初からFacebook成功の後日譚的なエピソードを本編と平行して描いておいて、最後に両者をうまく結合させるというアイデアも見事に決まっている。終わってみれば、恋愛もアクションもない地味なストーリーなのだが、それでいて全く不満を感じさせないというのは、相当に凄いことなんだろう。

なお、これは作品に対する不満ではないのだが、Facebook自体の素晴らしさという点に関しては、本作を見ても俺には全く理解できず、なんかハーバード大学をはじめとする有名大学の権威を上手く利用しただけのような気がしてしまった。

ということで、本作と昨年のアカデミー賞を争った「英国王のスピーチ(2010年)」とは、ともに実在の人物を扱っている点以外では正に対照的な作品になっており、まあ、作品賞や主演男優賞は仕方ないにせよ、監督賞については本作のほうが相応しかったように思います。