ゴーン・ベイビー・ゴーン

2007年作品
監督 ベン・アフレック 出演 ケイシー・アフレックミシェル・モナハン
(あらすじ)
ボストンで4歳の少女アマンダが誘拐されるという事件が発生し、地元で私立探偵を営んでいるパトリック(ケイシー・アフレック)は彼女の伯父夫婦から捜索の依頼を受ける。警察が既に捜査を開始していることもあってあまり気が進まなかったが、伯母の必死な願いを断りきれなくなった彼は、恋人でもあるパートナーのアンジーミシェル・モナハン)と一緒に捜索を開始する….


日本では劇場未公開のベン・アフレックの初監督作品。

生まれも育ちもボストンというパトリックは、ハイスクール時代の旧友をはじめとする独自の人脈を使って警察の知らない様々な情報を入手し、アマンダの母親であるヘリーンが麻薬の常習者であり、事件のあった晩も娘一人をほったらかしにして麻薬の売人グループの男と一緒に飲み屋に居たこと等を探り出す。

本作の前半で、アマンダの誘拐事件の背後にヘリーンの麻薬がらみのトラブルが存在することが明らかになり、ネグレクトを含んだ児童虐待の問題が次第にクローズアップされていくのだが、その後、捜査に当たっていたレミー刑事(エド・ハリス)の洩らした不用意な一言から、事件は意外な展開を見せる。

まあ、元になっているのが「ミスティック・リバー(2003年)」の原作者でもあるデニス・レヘインのハードボイルド小説ということで、後半も決して一筋縄ではいかないような内容であり、本作でパトリックの下した判断が正しかったのか否かという問題にしても、それをいつの時点で評価するかによって答えは変わってくる。

確かに本作のラストシーンを見た限りでは彼の判断は間違いだったような気がするが、悔い改めたヘリーンが良い母親になる可能性を残した時点で映画を終わらせておけば、観客に反対の印象を与えることも出来ただろうし、更には、あの後、アマンダが逆境をはね返して立派な人間に成長していく可能性だって残されている筈である。

ということで、ベン・アフレックという人はなかなかの才人らしく、初監督とは思えないほどの立派な作品に仕上がっているのだが、最後のタネ明かしがちょっと丁寧すぎるのに対し、アンジーの内面の変化の理由がよく判らなかったあたりに少々不満が残りました。