ラブリーボーン

2009年作品
監督 ピーター・ジャクソン 出演 シアーシャ・ローナンマーク・ウォールバーグ
(あらすじ)
14歳のスージー・サーモン(シアーシャ・ローナン)は、両親と二人の妹弟との5人家族。学校の放課後、憧れていた同級生のレイから週末のデートに誘われた彼女は、天にも昇るような気持ちで家路につくが、その途中、近所に住んでいるジョージ・ハーヴイという男から声をかけられ、彼がトウモロコシ畑の地下に造った子供達のための隠れ家に案内される....


妻からのリクエストにお応えし、一緒に観賞。

ピーター・ジャクソンの新作ということで、俺も興味が無かった訳ではないのだが、劇場予告やTVの宣伝を見た限りでは一体どんな類の作品なのか、さっぱり見当がつかない。少女が殺されるらしいのでサスペンスなのかと思いきや、CMで紹介される映像からはファンタジー作品のような雰囲気が伝わってくる。

まあ、そんな中途半端な気持ちで鑑賞に臨んだ訳であるが、困ったことに作品を見終わってからもその中途半端さは一向に解消しない。スージーがトウモロコシ畑の地下で殺された後、ストーリーは、A. スージーの死後の世界、B.父又は妹による犯人探し、C.遺された家族の崩壊と再生、の3つのパートに分岐するのだが、それらが最後まで上手く収束していかないんだよね。

題名と最後のナレーションから推測すると、Cが本作のメインテーマになるような気もするのだが、実際は(映画的に面白い)AとBに時間をかけすぎたため、Cの内容が一番貧弱になってしまっている。後半、母親のアビゲイルが家を出て行ってしまうというCに属するエピソードが登場するのだが、そこに至るまでの経過説明が不足している故、見ていて随分唐突な印象を受けた。

一方、一番面白かったのは、前半、まったく影の薄かった妹のリンジーが途中から急速にその存在感を増していき、ラスト近くでは犯人探しにおいて決定的な役割を果たすというところ。しかも、それに対応して容貌の方もどんどん美人になっていくのだから、子役とはいえ、女優というのはまったく大したものですな。

ということで、スージー役のシアーシャ・ローナンの好演もあって、皮肉なことに彼女が殺されるまでの方が面白くなってしまっており、個人的には、あのまんま彼女の初恋をテーマにしたホームドラマを見せて頂きたかったような気もします。