アルジェの戦い

1965年作品
監督 ジッロ・ポンテコルヴォ 出演 ブラヒム・ハギアグ、ジャン・マルタン
(あらすじ)
1954年の仏領アルジェリア。サアリ・カデルが指揮する地下組織は、祖国の独立を目指してカスバを拠点に抵抗運動を開始し、チンピラだったアリ(ブラヒム・ハギアグ)もそれに参加することになる。抵抗運動は次第に激しさを増し、事態を憂慮したフランス政府は、1957年10月にマシュー将軍(ジャン・マルタン)の率いる空挺部隊アルジェリアに派遣し、抵抗運動の鎮圧を図るが….


1954年から1962年にかけて行われたアルジェリア独立戦争の様子をドキュメンタリー・タッチに描いた作品。

「アルジェの戦い」という題名が示しているように、本作で描かれている“戦争”は市街地で行われたゲリラ戦であり、最初の頃はフランス人の警官を狙った狙撃事件が中心だったのだが、次第に一般のフランス系市民を巻き添えにするような爆弾テロへと闘争内容がエスカレートしていく。

一方のフランス軍の方もこの事態を黙って見ている筈もなく、地下組織の指導で行われたゼネストを口実にしてカスバの住民をかたっぱしから連行し、彼等を拷問にかけることによって地下組織の全容を突き止めようとする。これを指揮するマシュー将軍(=対ナチレジスタンスの英雄)がとても優秀かつ理性的であり、いたって冷静に作戦を進めていく様子がとても恐ろしい。

まあ、本作の内容だけに限って言えば、アルジェリアの方々の勇気ある行動によって遂にフランスからの独立を勝ち取ったということになるのだろうが、今日的には今もイラクアフガニスタンで続発する爆弾テロの様子がどうしてもオーバーラップしてきてしまう訳であり、(映画自体はとても良く出来ていると思うが)本作を見終わってからも爽快感や満足感のようなものは全く湧いてこない。

大体アリ達の活動にしても、結果的に独立が認められたからこそ革命として評価してもらえた訳であり、仮に抵抗活動が鎮圧されていたら単なるテロリストとしか呼ばれなかったに違いない。そう考えると、確かにテロ活動は許されるべきではないにしろ、それに異を唱えるときには彼等がそうせざるを得なかった事情についても慎重に耳を傾ける必要があるのだろう。

ということで、例年、この時期になるとTVでは我が国の戦時中の様子が繰り返し放送される訳であるが、相変わらず被害者の立場から捉えたような内容ばかりで本当に嫌になる。こういった加害者としての自覚を忘れたかのような放送を繰り返していると、かえって国内の軍備増強論を煽るような結果になってしまうのではないかと、とても心配になってしまいます。