天使と悪魔

先日見た映画版「天使と悪魔(2009年)」の原作本。

映画の方には出てこなかったCERNの所長やBBCのレポータが登場したり、映画では5分でOKだった筈の反物質保存容器のバッテリー交換に1時間くらいかかる(∵CERNに持ち帰らなくてはならない。)といった違いはあるが、おおよそのストーリーは映画と同じであり、当然、真犯人も一緒。

映画を見たとき、オリヴェッティ等が問答無用で射殺されてしまったり、真犯人の証拠がしっかりビデオに写っていたりする点について、ちょっと粗いなあと思っていたのだが、これらのシーンも基本的に原作どおりだったんだねえ。俺は、観客に解り易くするため、映画用にストーリーを相当簡略化したのだろうとばかり思っていた。

それと、映画版での最大の謎であった“そもそもカメルレンゴの狙いは何だったのか”という点に関しても、最初から自分が法王になることを狙っていたということで、妻の勝ち。例の大爆発も神の御心を信じて疑わないカメルレンゴの予定どおりの行動だった訳であるが、映画の方では、反物質保存容器のバッテリー交換が上手くいっていればあの大爆発は防げた筈であり、そうすると彼は低温状態におけるバッテリー消費量の変化まで計算に入れていたことになるんだけどなあ。

ということで、(これは「ダ・ヴィンチ・コード(2006年)」を見たときにも思ったんだけど)原作を読んでみると、映画化に当たり監督のロン・ハワードは実にしっかりとした仕事をしているということが良〜く分かる。仮に凡庸な監督が本作を映画化していたら見るに耐えない作品になっていた可能性大であり、原作者のダン・ブラウンは彼に感謝すべきなんでしょうね。