1947年作品
監督 ラオール・ウォルシュ 出演 テレサ・ライト、ロバート・ミッチャム
(あらすじ)
20世紀を目前にした頃のニュー・メキシコ。孤児になったジェブ・ランド(ロバート・ミッチャム)はキャラム夫人に引き取られ、彼女の実子であるアダムとソー(テレサ・ライト)の兄妹と一緒に我が子同然に育てられる。しかし、キャラム家の親戚であるグラントはランド家の一族に対して激しい恨みを抱いており、様々な策を弄してジェブの命を奪おうとする….
ラオール・ウォルシュ監督によるちょっと異色な西部劇。
ジェブとソーは子供の頃からとても仲が良く、アダムはそのことを面白く思っていないという関係は「嵐が丘(1939年)」と良く似ているね。ジェブを亡きものにしたいと考えているグラントは、そんなアダムをそそのかしてジェブを襲わせるんだけど、結果は敢え無く返り討ち。しかし、今度は兄を殺されたソーがジェブに対する復讐を決意する、っていう具合。
したがって、ジェブ対アダム以外にも、ジェブ対プレンティス(=ソーに好意を抱いている青年で、演じているのはハリー・ケリーJr.)とジェブ対ソーの対決シーンが見られるのだが、いずれもスッキリとした結末にはなっていないため、少々欲求不満気味の気持ちを観客に抱かせたまま物語は進んでいく。
また、ジェブの子供の頃の記憶である“ブーツに付けられた拍車と閃光”のイメージが繰り返し登場し、どうやらこの強迫観念の中にグラントが彼の命を付け狙う理由が隠されているらしいんだけど、それが何であるかについてもなかなか明らかにされない。
そして、最後の最後になってようやくその秘密の全容が判明するんだけれど、まあ、何というかそれがあまり西部劇らしくないものなんで、結局、ちょっと肩すかしをくわされたような印象のままで物語は終わってしまう。そんな訳で、決して出来は悪くないと思うけど、見終わっての満足度は少々低目かなあ。
主演のテレサ・ライトは、本作公開当時29歳。一般的にはまだ老けこむ年齢ではないのだが、彼女の魅力である“聡明なお嬢さん”のイメージを維持する上ではそろそろキツイ時期に入っていたのかもしれず、いつものような颯爽とした魅力が感じられないのがちょっと寂しい。
ということで、本作で最も輝いているのが「過去を逃れて(1947年)」と同時期の出演となるロバート・ミッチャム。珍しく髪を明るいブロンドに染めたその色男ぶりはなかなかのものであり、後年のトレードマークになる“スリーピング・アイ”もまだ全然パッチリしていて、むしろちょっとロマンチックな印象でありました。