レンブラントの夜警

2007年作品
監督 ピーター・グリーナウェイ 出演 マーティン・フリーマンエヴァ・バーシッスル
(あらすじ)
1642年のオランダ。若くしてヨーロッパ中にその名をとどろかせる一流の肖像画家になっていたレンブラントマーティン・フリーマン)のもとにアムステルダムの市警団から集団肖像画製作の依頼が舞い込む。妻サスキア(エヴァ・バーシッスル)のとりなしもあって引き受けることにするが、この市警団の隊員達には様々な犯罪の影が….


鬼才ピーター・グリーナウェイによるレンブラントの名画「夜警」をテーマにした作品。

レンブラントに集団肖像画を注文してきたアムステルダムの市警団というのが、何ともスキャンダラスな人間の集団であり、レンブラントは彼等の行った犯罪の数々を告発するために「夜警」を描いた、というのが本作のストーリーのミソ。

確かに、レンブラントの「夜警」には当時の一般的な集団肖像画には見られない様々な謎があるってことは、以前、NHKの「迷宮美術館」でも取り上げられていた有名なエピソードな訳だけど、本作はその謎をグリーナウェイ独自の解釈(妄想?)で解き明かそうとするもの。

いや、そのテーマ自体はとても魅力的なため、これでそれなりの人が脚本を書き、それなりの人が演出を担当すればとても面白いミステリイになったと思うんだけど、そこは一筋縄ではいかない鬼才グリーナウェイということで、あまり本スジとは関係ないと思われるレンブラントと3人の妻(=正式に結婚したのはサスキア一人だけ。)との生活なんかが延々と語られる。

まあ、このいつ終わるとも知れないダラダラ感が好きになれるかどうかっていうあたりが本作の評価につながってくると思うが、幸いなことに俺はさしたる抵抗感を覚えずにこの劇中劇の世界に入り込むことができ、絵画と舞台と映画とが一体となったような彼の映像美を堪能することができた。

ということで、本作を見終わった後に改めてレンブラントの「夜警」を見直したところ、確かにそこに描かれている人物が全員間抜け面にみえることにちょっと驚いた。身に付けている衣装も珍奇なら、そのポーズも田舎芝居としか思えない。う〜ん、これって最初からこんな絵だったかなあ、それとも俺がグリーナウェイの術中に見事ハマったということなのかなあ。