ボーン・アイデンティティー

2002年作品
監督 ダグ・リーマン 出演 マット・デイモンフランカ・ポテンテ
(あらすじ)
瀕死の状態でマルセイユ沖を漂流していた男(マット・デイモン)が、偶然通りかかった漁船に救出される。記憶を失っていた彼は、体内に隠されていた手がかりをもとにチューリッヒにある銀行の貸し金庫に辿り着くが、そこにはジェイソン・ボーンという彼の名前が記載された身分証明書の他に、数種類のパスポート、多額の札束、そして1丁の銃が入っていた….


昨年公開の「ボーン・アルティメイタム(2007年)」で完結したボーン・シリーズの評判が良さそうなので、そのシリーズ第1作目を鑑賞。

記憶の戻らないジェイソンは何者かに命をつけ狙われ、途中で偶然知り合ったマリー(フランカ・ポテンテ)という女性と一緒に命がけの“自分探し”の旅に出る。しかも、次第に明らかになる彼の驚異的な身体能力から推測すると、その正体というのはどうも相当にヤバそうな感じっていうお話し。

この機械のように正確に敵を倒していくジェイソンをあのマット・デイモンが演じている訳だが、この役柄と彼の純朴そうな雰囲気とのギャップが本作の最大の魅力であり、このギャップがあるからこそ、自分の正体を知るに従って次第に深まっていくジェイソンの絶望感というものが観客にもヒシヒシと伝わってくる。

その意味で、この役柄は正にマット・デイモンのハマリ役であり、それに味をしめた彼が我儘を言って無理やりシリーズ化したのかと思ったが、調べてみると実は原作となったロバート・ラドラムの小説自体が三部作ということなので、まあ、シリーズ化は当初の予定どおりだったんでしょう。

ヒロインのマリーに扮するのは、「ラン・ローラ・ラン(1998年)」の主役をやっていたフランカ・ポテンテで、確かにリアリティはあるものの相変わらず華がない。次作以降も彼女がヒロインになるのか、ちょっと心配なところ。それと、ジェイソンの元上司に扮するクリス・クーパーは、あまり見せ場は無く、まあ、普通の出来でした。

ということで、なかなか良くまとまった作品であり、決してつまらなくはなかったが、本作自体はそれほど凄い作品とは思えない。シリーズ全体の評判から推測すると、おそらく、次の「ボーン・スプレマシー(2004年)」でアッと驚くような新展開があるのではないか、と勝手に期待してしまうところです。