足ながおじさん

1955年作品
監督 ジーン・ネグレスコ 出演 フレッド・アステアレスリー・キャロン
(あらすじ)
アメリカの大富豪であるペンドルトン3世(フレッド・アステア)は、政府の仕事でフランスを訪ねた際、孤児院で暮らす18歳の娘ジュリー(レスリー・キャロン)の生活を垣間見て、その才能と明るい性格に感服。自分の正体を明かさないまま、後見人となって彼女をアメリカの大学に留学させる….


「巴里のアメリカ人(1951年)」からのレスリー・キャロンつながりで、二十年ぶりくらいに再見。

一応、ウェブスターの「あしながおじさん」が原作ということで、孤児院育ちの少女が自らの後見人とも知らずに知り合った男性に恋心を抱き、最後には結ばれるという展開は原作どおり。しかし、本作のジュリーは割と初めの頃から立派なレディであり、相手役のペンドルトンに至っては正真正銘の“おじさん”! しかも、原作の方の中心的な話題となる彼女の学園生活については、こちらではほとんど描かれていない。

そのため、原作の面白さを期待して見た人は相当ガッカリすると思うんだけど、まあ、あくまでも映画と原作は別物と割り切ってみれば、これがなかなか素敵な作品に仕上がっており、十分に楽しめると思う。

主演のアステアは、公開当時56歳。本作におけるペンドルトン3世の年齢設定は不明であるが、いくつになっても女性にモテモテなのは彼のミュージカル映画のお約束みたいなもの故、気にしてはいけない。ちなみに、彼がヘップバーンと共演した「パリの恋人(1957年)」は、この2年後の作品です。

一方のレスリー・キャロンは、公開当時24歳ということで、ジュリーの年齢設定(18歳?22歳?)とそう大きな違いは無い。フランス育ちのせいか、彼女のルームメイト役の女優さん達に比べるとちょっと大人びて見えるものの、個人的には、彼女が出演したミュージカル映画の中では本作が一番美人に撮れていると思う。

ということで、ラストではジュリーに振られた男の子の結婚は決まるし、彼女のことを親身になって心配してくれた秘書のプリチャード女史にもちゃんとお相手が見つかるといった具合に周囲への配慮も十分。やっぱり、ミュージカル映画のハッピーエンドはこうでなくっちゃね。